金融庁は3月17日、新型コロナウイルス・パンデミックによる経済への悪影響を緩和するため、危機時の不良資産管理のためのリスク・ウェイト制度や、大手銀行に課せられているバーゼル条約について危機時の発動制度を改めて周知した。
バーゼル条約や金融庁の制度では、平時は、銀行の財務健全性を確保するため、倒産リスクの高まった企業への融資についての管理基準を設定している。しかし経済危機時に、平時の制度をそのまま適用すると、信用収縮が発生し、連鎖倒産や著しい経済へのダメージを与えることとなる。そのため、バーゼル条約や金融庁では、経済危機時には特別な基準を容易し、銀行が企業財務を支えられる役割を果たせるようにしている。
今回の発表では、まず、各銀行に対し、「セーフティネット保証4号(中小企業信用保険法第2条第5項)に基づく信用保証協会保証付融資」と「危機関連保証(中小企業信用保険法第2条第6項)に基づく信用保証協会保証付融資」の2つについては、リスク・ウェイトが0%になることを強調した。
また国際統一基準行に対しては、バーゼル銀行監督委員会による2019年10月31日付公表文「資本バッファーの利用可能性について」により、損失を吸収し実体経済に対する貸出を維持するために規制上の資本バッファーを必要に応じて取り崩すことが可能ということを改めて伝えた。国際統一基準行は、三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングスの4社。
加えて国際統一基準行に対し、流動性カバレッジ比率(LCR)について、ストレス時には、流動資産の利用等により、基準値を下回ることが許容されることも伝えた。金融庁の監督でも、今後LCRが基準値を一時的に下回った場合には、今後の経済等の状況を踏まえ、柔軟な対応を取ると表明した。
【参照ページ】新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた健全性基準上の確認
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