国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は12月24日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が12月22日に「持続可能性大会後報告書」を公表したことを受け、声明を発表。繰り返し批判してきた木材・パーム油・紙の調達基準や遵守の不備についての教訓が、同報告書に記録として残されなかったことに苦言を呈した。
【参考】【日本】RAN等、東京2020五輪組織委員会の木材調達基準改定内容を批判。複数の欠陥を指摘(2019年2月5日)
今回の声明では、2020年東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、日本の商習慣をあらため、さらに国産材にシフトすることまで促すことができたと指摘。組織委員会として、情報公開も順調に進めなかったことも批判した。
一方、「唯一、レガシーとしていえることは、2019年に木材調達基準を改定し、森林の農地などへの転換に由来する木材(転換材)の使用禁止を大会後報告書に明記した」と指摘。NGOの調査で施設建設にインドネシア産熱帯材を調達したことが明らかになった住友林業も、転換材の使用を認め、自社の調達方針にも転換材の使用停止を2021年度までにを加えたことも評価した。但し、両者ともに農地転換は排除される一方で、植林地への転換時に伐採された木材は使用禁止の対象に含まれないという課題が残っているとも言及。今後の企業および公共調達では、転換材全般を広く使用禁止にする必要があるとした。
また、大会主催者の一つである東京都のグリーン購入ガイドにおいて、「いずれかの認証制度において、認証対象から排除する措置を受けている者がサプライチェーンに関わる場合を除く」ことが記載されたことは高く評価した。
オリンピックに関しては、国際オリンピック委員会(IOC)も12月、2021年版のサステナビリティ報告書を発行。2017年から2020年までの状況を振り返った。IOCは、2014年12月の総会で、「オリンピック・アジェンダ2020」を採択し、サステナビリティを事業運営の中核の一つに据えた。さらに2021年3月には、「オリンピック・アジェンダ2020+5」を採択し、2025年までのオリンピック・ムーブメントのロードマップとして、「連帯」「デジタル化」「持続可能な開発」「信頼性」「経済的・財政的なレジリエンス」の5つの柱で、15のアクションをまとめている。
今回の発表された報告書では、2024年のパリオリンピックから、新たな時代が始まるという書きぶりが目立ち、2020年東京オリンピックについては、ほとんど成果として扱われていない内容となっていた。
【参照ページ】声明:東京五輪「持続可能性大会後報告書」公表、持続可能な木材調達、期待されたレガシーにはほど遠く(2021/12/24)
【参照ページ】持続可能性大会後報告書
【参照ページ】IOC SUSTAINABILITY REPORT 2021
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