英環境NGO植物園自然保護国際機構(BGCI)は9月1日、5年間の調査結果をまとめた「世界樹木現状(State of the World’s Trees)」レポートを発行した。BGCIが2015年に発足した「Global Tree Assessment(世界樹木評価)」プログラムを中心に、樹木の絶滅危惧を分析した世界初のレポートとなった。
今回の調査では、世界中の植物園、林業機関、大学等60以上のパートナー機関と協働し、500人以上の専門家が協力。結果、世界6万種の樹木を調査した結果、30%に相当する17,510種が現在絶滅の危機に瀕していることがわかった。ここでの絶滅危惧は「絶滅危惧IA類」「絶滅危惧IB類」「絶滅危惧II類」に相当する。これは、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類の絶滅危惧種の合計数の2倍にもなる。またすでに地球上に50本未満となっている種も440以上あった。
一方、種の保護や回復では明るい兆しもみえた。全樹木種のうち64%以上が、1つの保護区で発見され、約30%が植物園、種子バンク、人工飼育地で発見された。保護活動の対象となっている種は、絶滅しづらい。しかし、今回、さらなる対策が必要であることもわかった。
絶滅の脅威の要因の割合では、農業による農地開拓が29%、木材伐採が27%、畜産による農地・放牧地開拓が14%、都市化による森林伐採が13%、山火事が13%。木材として伐採されている樹木では、3分の1がすでに絶滅危惧に瀕している。さらに気候変動、異常気象、海面上昇による脅威も高まっている。
対策が必要な国では、樹木の個体種が多い順にブラジル、コロンビア、インドネシア、マレーシア、ベネズエラ、中国。そのうち絶滅危惧の種の割合が20%を超えているのは、ブラジル、インドネシア、マレーシア。特に島嶼部で絶滅危惧種の多さが目立つ。
今後の対策としては、自然保護区の拡大、植物園や種子バンクでの保存、政府や企業による資金支援の拡大、植樹計画の拡大、世界的な協力体制の強化の5つを挙げた。
【参照ページ】BGCI Launches the State of the World's Trees Report
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