ヒアリ(別名:アカヒアリ 学名:solenopisis invicta)とは、南米原産のハチ目アリ科フタフシアリ亜科に属するありの一種。英名は、Red imported fire antやRIFA。体長は2.5〜6mmで赤茶色。有毒アリで、日本では外来生物法により「特定外来生物」に指定されており、世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されています。
世界では、米国や中国やフィリピン、台湾等の環太平洋諸国に外来生物として侵入し定着。各地で問題となっています。日本では2017年5月26日に兵庫県尼崎市で発見されたアリが、6月9日にヒアリと確認されました。日本国内での確認はこれが初めてです。
基本情報
特徴
ヒアリは、全体が赤茶色で腹部が黒っぽい赤色です。体長は2.5〜6mm程度で個体によって大きさにばらつきがあります。毒性が強く、お尻の毒針で積極的に刺し、刺されると火傷のような強い痛みを感じ、アレルギー反応で死に至ることもあります。
生態
亜熱帯や暖温帯に生息し、農耕地や公園といった比較的開けた草地のような環境を好みます。土に直径25〜60cm、高さ15〜50cmのドーム上のアリ塚(巣)を作り、最大で高さ90cm、深さ180cmとなります。また、雑食性で節足動物やトカゲなどの小型脊椎動物、樹液、花蜜、種子などを餌とします。
毒成分
ヒアリの毒は、アルカロイド毒のソレノブシン(2-メチル-6-アルキルビベリディン)や、蜂の毒と同じ成分のホスホリバーゼやヒアルロニダーゼなどが含まれています。
繁殖
女王アリは1日に800から2,000個の卵を産みます。多くは生殖力のないメスですが、稀に生殖力のあるメスやオスとなります。受精したメスは新しくコロニーを作ります。コロニーには最大で400,000の働きアリが生息すると言われています。
影響
生態系に関わるもの
他種のアリと競合し駆逐してしまう可能性があります。極めて攻撃的で、節足動物や爬虫類、小型哺乳類をも集団で攻撃し捕食することがあります。
農林水産業に関わるもの
牛や馬、鶏などの家畜の死傷被害の可能性があります。
人体に関わるもの
ヒアリに刺された場合の症状は人により異なります。軽度であれば、刺された部位は強い毒による火傷のような痛みが走り、痒みが出てきます。そして約10時間後に膿ができます。中度の場合、数分後から数十分後に刺された部分などが腫れ、部分的もしくは全身が痒くなり発疹が出ることがあります。重度の場合は、刺されて数分から数十分後に呼吸困難、めまい、激しい動悸、血圧低下、意識障害を起こす可能性があります。重度の場合はアレルギー反応のアナフィラキシーの可能性が高く、処置が遅れると命の危険があります。
世界における確認
ヒアリは、貨物などに紛れ、気づかないうちに持ち込まれてしまうことがあります。世界では、米国や中南米、オーストラリア、中国、台湾など環太平洋諸国で確認されています。
北米ではヒアリを含む「Fire Ant」による被害が年間約1,500件、100人以上の死者が出ました。米国では、1999年から2003年にかけて全米で駆除の取り組みがなされました。現在は、カリフォルニア州等で地域ごとの駆除も続けられています。また、同州におけるヒアリによって苗を作る農家が輸出できなくなるなどの経済的損失もありました。テキサス州では、農業に関して毎年9,000万米ドルの被害が出ており、2001年にはヒアリの駆除や管理に5.8億米ドルかかりました。オーストラリアでは、地方産業の立て直しに30年で合計67億豪ドルがかけられました。また、ヒアリが群がることで電気がショートするなどの被害も起っています。
日本国内での確認
日本では2017年5月26日に兵庫県尼崎市で発見されたアリが、専門機関により6月9日にヒアリと同定されました。確認されたヒアリは、中国広東省広州市の南沙港を就航し輸送された貨物船内のコンテナ内部で発見されました。その後も神戸市(6月18日)や愛知県弥富市(6月30日)、大阪府大阪市(7月3日)、東京都大井ふ頭(7月6日)等でヒアリが確認されています。
刺された場合の対処法や連絡先
環境省によると、ヒアリに刺された場合の対処法としては、刺された直後20分から30分は安静にし、体調変化の様子を見るよう指示しています。軽度の症状であれば、ゆっくりと病院を受診して良いとされています。一方症状が悪化する場合、一番近い病院で可能ならば救急受け入れのある病院で受診し、「アリに刺されたこと」「アナフィラキシーの可能性があること」を伝えるよう指示しています。
参考ウェブサイト
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