アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム副大統領兼首相兼ドバイ首長国首長は1月10日、同国の今後30年間のエネルギー戦略「Dubai Clean Energy Strategy 2050」を発表した。現状0.1%にも満たない発電量に占める再生可能エネルギー割合を2050年までに44%にまで引き上げ、二酸化炭素排出量を70%削減する。さらに企業と家庭のエネルギー消費効率を現状より40%向上させる。
今回発表されたエネルギー戦略は、エネルギー関連の各当局と閣僚評議会(内閣に相当)が連携して作成し、エネルギー省と内閣総務・幸福省をはじめとする連邦政府の監督のもとでまとめられた。エネルギー戦略は全体として3段階で進められる。第1段階は、省エネの推進とエネルギーの多様化と安定を目標とする。第2段階は、交通分野のエネルギーで新たな手法を見出していく。第3段階では持続的なエネルギーを供給するための創発やイノベーションに加え、研究開発を進める。
2015年の時点でUAEの発電量割合は、天然ガスが約98%と大半を占め、残りのほとんどは石油。再生可能エネルギーは太陽光発電のみで割合は0.1%未満。原子力や水力はゼロ。今回発表したエネルギー戦略では、2050年までに、再生可能エネルギー44%、天然ガス火力38%、高効率石炭火力12%、原子力6%とする。
実現に向けては、2050年までに6,000億UAEディルハム(約18.5兆円)をエネルギー分野に投資する。現在ドバイ電気・水道局が世界過去最大の太陽光発電所(メガソーラー)「Mohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park」計画が進行しており、すでに完成した第1期の設備容量は1GW。第2期のプロジェクトも始まっており2017年4月に0.2GW、現在計画中の第3期では0.8GWが追加される。最終的には2030年までに5GW規模に拡大させる。第2期0.2GW分は、すでに25年間の電力購入契約(PPA)がまとまっており、売電価格は1kW時当たり5.89米セントと世界で最も低い金額。世界の注目を集めた。太陽光パネルは米ファースト・ソーラー製。建設はサウジアラビア系企業が受注している。
原子力発電では、2009年に韓国電力公社が4基(総額約5兆円)の運営を受注しており、2016年10月には同社はさらに60年間の運営権も獲得した。今年後半には1号機が運転を開始すると見られている。4基全ての完成は2020年の予定。韓国電力公社にとって、原発の建設から運営までを一貫して行う海外案件として初のケースとなる。
【参照ページ】Vice President unveils UAE energy strategy for next three decades
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