シンガポール証券取引所(SGX)のカーボンクレジット市場「クライメート・インパクトX(CIX)」と、二酸化炭素除去(CDR)に特化した国際B2Bカーボンクレジット証書発行及び市場運営のフィンランドPuro.earthは6月6日、戦略的提携を発表した。CIXでPuro.earthのクレジットを扱えるようにする。
CIXは、DBS銀行、シンガポール証券取引所Xグループ、スタンダードチャータード、テマセクが共同で設立。アジアの中心的なカーボンクレジット市場として機能している。市場には複数の場があり、2022年初期に開始した「CIX Project Marketplace」では、CIXは市場に供給されるカーボンクレジットの品質基準を設定し、外部で組成されたクレジットも扱う拡張性の高い運用を進めている。2022年末には、さらに標準化された契約条件を満たす優良クレジットの双方向のスポット市場も開設する。他にも、オークション型の市場もある。
一方、Puro.earthは、独立した第三者機関によって検証されたCDR型のカーボンクレジット証書を発行。特に、バイオ炭、炭化建材、地中炭素貯留等の新しい炭素除去方法の評価方法を開発したことで知られる。2021年、米ナスダックが、Puro.earth株式の過半数を取得した。
CIXの今回のPuro.earthとの提携の背景には、2020年9月に英オックスフォード大学の研究チームが提唱した「ネットゼロに沿ったカーボンオフセットのためのオックスフォード原則」の存在が在る。同原則は、省エネ型ではなく、CDR型で高品質のカーボンクレジットへのシフトを掲げており、CIXとしても重視した形。そのためCDR型で先行しているPuro.earthとの提携に漕ぎ着けた。まず、森林、マングローブ、沿岸生息地等の自然生態系を保護、回復、育成する信頼できる自然を軸としたソリューション(NbS)のクレジットを市場に供給していく。
今回の提携により、CIXは、アジア市場にCDR型の高品質クレジットの供給を実現。Puro.earthは、CDR型クレジットの取扱い拡大を通じて、市場全体のパイの拡大と、需給不均衡の解消を狙える。
【参照ページ】Climate Impact X and Puro.earth partner to bring new net zero aligned carbon credit portfolio to market
【参照ページ】The Oxford Principles for Net Zero Aligned Carbon Offsetting
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