スウェーデンの連立政権は6月10日、国内のエネルギー政策で複数野党と合意に達したと各紙が報じた。2040年までに国内のエネルギー源を再生可能エネルギー100%とする目標を定めるとともに、原子力発電に対して、低率課税、資金提供メカニズムの新設、操業期間制限なしなどの優遇措置を設けることし、原子力発電を含めた再生可能エネルギーの増強に乗り出す。
今回の合意が公表された記者会見では、多くの関係政党が再生可能エネルギー発電を導入する上で大きな進歩であることを主張。その一方で、原子力を支持するいくつかの野党は、原子力の勝利であることを強調した。
スウェーデンでは、スリーマイル島原子力発電所事故の後開かれた1980年の国民投票で、2010年までに原子力発電から撤回すべきという意見が勝利した。しかし、その国民投票では「原子力を廃止しない」という選択肢が設けられていなかったことが批判されたため、それ以降廃炉になったのは1基のみ。国会は、老朽化した発電所に代わる新たな10基の建設を可決するなど、現在もスウェーデンは電力の40%以上を原子力発電に依存している。
スウェーデンは原子力発電問題は大きな論争を呼ぶ。野党時代に廃炉を主張していても、与党になる一転、経済的に立ちゆかなくなるとの有権者の懸念から、これまで何度も議論が立ち消えになってきた。代替源に関しても隣国デンマークのように風力発電に期待する声も出るが、風力発電への補助金制度が定まらず、力強く推進するまでに至っていない。
【参照ページ】Sweden has committed to 100% renewable energy by 2040 - and at the same time 'saved nuclear power'
【参照ページ】Sweden targets 100% renewables by 2040, backs nuclear
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