米環境保護庁(以下、EPA)は8月18日、オバマ政権が推進する気候変動対策の一環として、石油・天然ガス産業からのメタンガスおよびVOC(揮発性有機化合物)排出量削減に向けた排出基準案を公表した。この基準案は2025年までに2012年比で石油・ガス産業のメタンガス排出量を40~45%削減するというオバマ政権のClimate Action Planの一環だ。
メタンガスは天然ガスの主要な構成物質で、二酸化炭素の25倍以上もの温室効果があるとされている。メタンガスは米国で排出される温室効果ガスの中でも二番目に多くなっており、排出量の約30%は石油の生産および天然ガスの生産・輸送から発生している。
今回提案された基準案は2025年に34~40万米トンのメタンガス削減を目指すというもので、これは二酸化炭素だと770万~900万トンの削減に匹敵する量となる。EPAの推定によると、新基準により2025年には1.2~1.5億米ドルの利益がもたらされるという。
基準案の内容にはEPAが今年の前半に公表したEPAのMethane Challenge Programも含まれており、メタンガスおよびVOC排出の削減に向けて石油・ガス業界の更なる自助努力を促すものとなっている。具体的にはパイプラインからの漏洩対策や、空気圧ポンプや圧縮機、空気質調節計など各種設備における排出制限の設定などが含まれる。
今回の提言では石油に伴う大量の天然ガスが含まれる水圧破砕・再破砕した油田からのメタンガス・VOC排出量削減も求めているほか、削減の対象範囲は油田や製造現場に加えて2012年のEPAの規制にはなかった天然ガスの輸送設備にまで拡大しているのも特徴だ。
このメタンガス排出規制は、化石燃料発電に対する規制と合わせて米国の気候変動対策の大きな柱の一つとなる政策だ。EPAは同基準案に対する意見を公募し、来年にも規制を最終決定する予定だ。
【参考サイト】Oil and Natural Gas Air Pollution Standards
【参照リリース】EPA Proposes New Commonsense Measures to Cut Methane Emissions from the Oil and Gas Sector /Proposal Cuts GHG Emissions, Reduces Smog-Forming Air Pollution and Provides Certainty for Industry
【団体サイト】EPA
【参考サイト】Climate Action Plan
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