グローバルにおける気候変動対策投資の現状と課題が明らかになった。
気候変動ファイナンスを推進するClimate Policy Initiativeが11月に公表したレポート”Global Landscape of Climate Finance 2014”によると、気候変動に向けたグローバルにおける投資額は2012年の3,590億ドルから、2013年には3,310億ドルまで低下しているという。
同レポートは、公的セクターによる投資は1,370億ドルと昨年とほぼ同様の投資額を示している一方で、民間セクターによる投資が1,930億ドルとなり2012年から約310億ドル落ち込んだと報告している。
この民間投資の縮小は主に技術発展などに伴う太陽光発電の発電コスト低下によるものが大きいとしており、太陽光発電設備への2013年の投資額は2012年の想定から400億ドル少なかったということだ。
一方で、同レポートは現状の投資規模は未だに不十分と指摘しており、The International Energy Agencyの推定によれば、グローバルの気温上昇を2度以下に抑えるという目標を実現するためには、20111年?2050年でエネルギー業界単独でも毎年1兆1,000億ドルの投資が必要だとしている。
今回のレポートが示している主なポイントは下記の通りだ。
先進国と途上国の投資額はほぼ同等
気候変動ファイナンスは先進国(OECD加盟国:1,640億ドル)と途上国(OECD非加盟国:1,650億ドル)とでほぼ同額となっている。
自国内向け投資が中心
投資額のほぼ4分の3が自国内向け投資となっており、特に民間セクターによる投資はその傾向が強く、全投資額の90%にあたる1,740億ドルが国内向けとなっている。民間セクターは投資環境をよく理解している国内のほうが投資リスクは少ないというバイアスを持っている傾向が見て取れる。
公的セクターの資金は先進国から途上国へ
公的セクターの投資は大部分が先進国から途上国に向けたものとなっており、その投資額は、2013年には2012年から80億ドル少ない310?370億ドルとなっている。
Climate Policy Initiativeでシニアディレクターを務めるBarbara Buchner氏は「政策立案者らが2015年に向けた新たな国際気候変動対策の合意に向けた準備を進めている中で、気候変動ファイナンスは重要な鍵を握っている。我々の分析は、よりクリーンでレジリエントな経済に向けたグローバル投資が減少しており、気候変動対策に必要な投資額と実際の投資額の間のギャップが広がっていることを示している」と語り、危機感を強調した。
また、同氏は「我々の示した数字は、ほとんどの投資は国レベルで行われており、投資家はより身近な環境をリスクが低いと認識し、好んでいることを示している。これは、国内における政策フレームワークや適切なリスク・カバレッジが投資を促すうえで重要だということを示している」と付け加えた。
【レポートダウンロード】Global Landscape of Climate Finance 2014
【団体サイト】Climate Policy Initiative
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