英国政府とドイツ政府は11月16日、国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)の場で、気候災害に直面する発展途上国やコミュニティを保護するため、国連世界食糧計画(WFP)に総額2,000万米ドル(約28億円)を拠出すると発表した。世界銀行の「グローバル・シールド・ファイナンス・ファシリティ」を通じて、WFPに資金を提供する。
今回の資金は、WFPが23ヶ国で展開している保険型の気候災害リスクファイナンスの活動を拡大するための使われる。WFPによると、今後2年間で最大460万人を保護できる見込み。「気候リスクに対するグローバル・シールド」の一環として実施される。
【参考】【国際】G7とV20構成58ヶ国、気候変動損失・損害対策「グローバル・シールド」創設。まず310億円(2022年11月15日)
英国政府とドイツ政府は2019年以降、WFPの気候災害リスクファイナンスの支援を開始。WFPは、アフリカ連合(AU)が2013年に設立した保険会社アフリカン・リスク・キャパシティの気候災害保険をアフリカ7ヶ国で450万人に提供。すでに4ヶ国で合計5回、総額990万米ドルの保険金を支払っている。
また、WFP、世界銀行、中米パートナーシップ(PCA)は11月16日、「中米における災害リスク保険・金融コンソーシアム(DRIFCA)」を発足。グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの小規模農家最大200万人の食糧確保とレジリエンスを高めるための気候関連農業保険ソリューションを特定・支援することも決めた。事前に世界銀行が地域別フィージビリティスタディを実施し、活動を米国際開発庁(USAID)も支援した。
DRIFCAは今後、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの政府および企業・金融機関と協力し、インクルーシブでサステナブルな市場型の災害リスク金融モデルを開発していく。
3カ国では、小規模農家は豊作に依存しており、凶作時には農具や家畜を売りさらに農業手段が失われるという悪循環に陥っているという。困窮した農家は最終的に移住者や移民となり、今回の対策は中米移民対策ともいえる。
【参照ページ】WFP, UK, Germany and World Bank come together to expand risk financing for communities vulnerable to climate shocks
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