世界気象機関(WMO)は11月15日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に向け、最新の気候変動状況を記した報告書「WMO Greenhouse Gas Bulletin」の2023年版を発行した。
1990年から2022年にかけ、長寿命温室効果ガスによる気候への温暖化効果(放射強制力と呼ばれる)は49%増加し、この増加の約78%を二酸化炭素が占めている。大気中の二酸化炭素濃度は2022年に過去最高の417.9ppmに到達。2023年も引き続き増加している。メタン濃度は1,923ppb、一酸化二窒素濃度も335.8ppbとなり、同じく過去最高となった。
(出所)WMO
二酸化炭素濃度の増加率では、2021年および過去10年間の平均よりもわずかに低い状況となった。しかし、これはラニーニャ現象等の炭素循環における自然で短期的な変動による可能性が高いとした。地球が同程度の二酸化炭素濃度を経験したのは、300万から500万年前のことで、その当時は気温が2℃から3℃高く、海面も現在より10mから20m高かったという。
一酸化窒素濃度の増加率は、過去最高を記録した。
同報告書は、今回、気候システムは、事故加速的で不可逆的な変化の連鎖を起こす「ティッピング・ポイント」に近づいている可能性があると言及。ティッピング・ポイントの現象には、アマゾン熱帯雨林の急速な枯死、北方海洋循環の減速、大規模な氷床の不安定化等が考えられるとした。
【参照ページ】Greenhouse Gas concentrations hit record high. Again.
【参照ページ】WMO Greenhouse Gas Bulletin 2023
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