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【日本】キリン傘下の研究所、ホップ屋内栽培技術確立。熱ストレス耐性向上アミノ酸発見

【日本】キリン傘下の研究所、ホップ屋内栽培技術確立。熱ストレス耐性向上アミノ酸発見 1

 キリンホールディングス傘下の飲料未来研究所と、東京大学発スタートアップCULTAは8月9日、気候変動に適応したホップ生産に関する共同研究により、ホップの屋内栽培技術を確立したと発表した。

 屋内栽培技術によって、屋外では夏季にしか収穫できなかったホップを、他の季節でも収穫することに成功。今後、年間の収穫、評価の回数を増やすことでホップの気候変動適応研究を加速させる。

 ビールの原料となるホップの収穫時期は、日本では一般的に年1回夏季のみのため、収穫したホップの品質評価も年1回しか実施できない。またホップの生育は気候や病虫害等の外部環境にも左右されやすいため、品種改良には10年以上の長い期間を要し、栽培技術の開発や評価にも多くの労力がかかる。加えて昨今、気温上昇や干ばつによるホップの収量・品質低下も深刻な問題となっていることから、気候変動に対応する品種改良や栽培技術の開発は喫緊の課題となっている。

 両社は今回、人工的に制御した環境で、光・水・施肥等を最適に管理した屋内栽培を行うことで、1年間での複数回収穫と品質評価を実現。ホップの品種改良や栽培技術開発のサイクルを加速させ、生育メカニズム解明や新たな栽培技術の開発にもつながる可能性がある。

 両者は2023年、静岡県のアグリオープンイノベーション拠点「AOI-PARC」を活用し、共同研究を開始。CULTAの持つ人工的に制御した植物栽培と、ゲノム情報を活用した植物の表現型予測を組み合わせた高速育種技術と、キリンのホップ研究を組み合わせ、最適な屋内栽培技術を確率した。

 またキリンホールディングス傘下のキリン中央研究所は同日、アミノ酸の一種であるN-アセチルグルタミン酸(NAG)が、ビールのホップの熱ストレス耐性を高めることと、そのメカニズムを明らかにしたと発表した。

 NAGはホップだけでなく他の植物でも熱ストレス耐性を強化できるため、気候変動に対応する農業資材として活用できる可能性がある。同研究成果は、科学雑誌「Horticulturae」に掲載された。

 気候変動に伴う気温上昇は、植物に対して熱ストレスとして作用し、成長を阻害するが、ホップにおいて熱ストレスを抑制する技術やストレス応答のメカニズムは、これまでほぼ明らかになっていなかった。そこで同研究所では今回、ホップに熱ストレスが作用する温度条件30℃の実験室で、NAG処理によりホップの生重量が1.5倍増加することを確認。そのメカニズムも明らかにした。

 同社は今後、今回の研究結果をもとに気候変動によるホップの品質や収量低下を抑制し、ビールに必要不可欠な原料であるホップの持続的な調達を目指す。

【参照ページ】ビールの原材料「ホップ」の屋内栽培技術を、CULTA社と共同で確立
【参照ページ】ビールの原材料“ホップ”に熱ストレス耐性を高めるアミノ酸を発見
【画像】キリンホールディングス

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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