残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の残留性有機汚染物質検討委員会第19回会合(POPRC19)が10月9日から13日まで、イタリアのローマで開催された。化学物質2つの廃絶を、2025年4月頃に開催予定の第12回締約国会議(COP12)に勧告することが決まった。
今回の勧告で、同条約の廃絶対象物質(附属書A)に追加するよう決議されたのは、中鎖塩素化パラフィン(MCCP)と、長鎖パーフルオロカルボン酸(LC-PFCA)の2つ。
塩素化パラフィンは、難燃剤、プラスチック可塑剤、金属成形加工時の潤滑油、冷却剤等、幅広い用途で用いられている。すでに炭素原子が10から13で、塩素化率40重量%から70重量%の「短鎖塩素化パラフィン(SCCP)」については、POPs条約の附属書Aに追加されることが決定。それにより中鎖塩素化パラフィンに代替する動きもあったが、今回、炭素原子が14から17で、塩素化率45重量%以上の「中鎖塩素化パラフィン(MCCP)」についても、附属書Aに追加される見込みとなった。
中鎖塩素化パラフィンは、難分解性や生体濃縮のリスクがあり、EUで先行して規制強化の動きがあり、POPRC19には英国が起案した。但し、自動車や社会インフラ向け電気電子機器、医療機器に用いる金属加工油剤や修理用部品等のためのMCCPの使用は規制適用除外となった。また、規制対象となるMCCPの定義の範囲については議論を継続することとなった。
炭素原子が9から21の長鎖パーフルオロカルボン酸(LC-PFCA)は、フッ素ポリマー加工助剤や熱媒体等で使われている。今回の会合では、信頼性試験や温度管理用の不活性フッ素液体、電気電子機器の閉鎖系で用いる熱媒体及び熱媒体を含有する修理用部品等では、LC-PFCA規制を適用除外にすることも決まった。今後、適用除外の範囲を明確にするため、化学物質情報を収集していく。
また同会合では、殺虫剤に使われているクロルピリホスの規制では、リスクプロファイル案を審議し、重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達した。次回会合(POPRC20)でリスク管理に関する評価を検討する。クロルピリホスの規制はEUが提案していた。
【参照ページ】ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第19回会合(POPRC19)が開催されました
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