今回ご紹介するのは、4月3日にカルフォルニアのサンタバーバラで開催されたECO:nomicsにて、ウォルマート会長、Michael T. Duke氏が登壇しているパネルディスカッションの一コマ。ECO:nomicsはウォール・ストリート・ジャーナル誌が主催するイベントで、1年に1度、グローバルカンパニーのCEOや投資家、起業家、環境の専門家や政策立案者などが集まり、ビジネスと環境のボトムラインについて議論するカンファレンス。
ウォールストリートジャーナルの敏腕編集者たちがグローバル企業のCEOに鋭くユニークな質問で切り込みながらトークを展開していく、非常に見ごたえがあるイベントだ。上記の動画では、"Will Consumers Pay For Sustainability?(消費者は、サステナビリティのためにより多くを支払うか?) "というテーマで、ウォルマート会長のMichael T. Duke氏が同社の立ち位置について述べている。
ウォルマートは言わずと知れた世界最大の小売企業で、2013年度のFortune Global 500でもオランダのロイヤル・ダッチ・シェルに次いで売上高世界第2位にランクインしている。ウォルマートといえばかつてはスケールメリットを活かした徹底的な低価格戦略で地元のローカル商店を閉店に追い込み、従業員を低賃金で働かせているといった悪評も多かった。
しかし、2005年頃から本格的にサステナビリティ活動に取り組み始め、2007年には初めてサステナビリティ報告書を作成、その後も真摯に自社およびサプライチェーン全体でサステナビリティ向上に取り組み続けた結果、今ではサステナビリティ分野のリーディングカンパニーとして知られるようになった。
「消費者は、サステナビリティのためにより多くを支払うか?」というテーマに対するMichael T. Duke氏の考えは非常に明確だ。
同氏によれば、アメリカの消費者の多くは、実際にはよりサステナブルな製品のために多くのお金を支払うことを望んでいないという。また、ウォルマートとしても、"Customers should not have to choose between products that are more cheaper and those that are more sustainable.(消費者は、より安い製品と、(少し高くはつくが、)よりサステナブルな製品のどちらかを選ぶ必要があるべきではない)"という立場をとっているとのことだ。
つまり、ウォルマートはサステナブルな製品はそうではない製品よりも価格が高いという状況を望ましいと考えていないのだ。そしてそれこそが、同社がサプライヤーと共にサステナビリティの推進による小売価格の上昇を最小限にしようと一生懸命努力している理由だという。
ウォルマートにとっての理想は、5ドルの製品の横でサステナブルな製品を8ドルで売るのではなく、それを同じ5ドルで売ることであり、同氏によれば、"our job is to eliminate the gap(ウォルマートの仕事は、そのギャップを取り除くこと)"なのだ。
そして同氏は、規模の追求、効率性の追求、そしてイノベーション、それも適切なイノベーションによって、そのギャップを取り除くことができると考えているとのことだ。
ウォルマートの代名詞といえば、"EDLP(Every Day, Low Price)"という低価格戦略だ。かつてはウォルマート批判の象徴ともなっていたこの戦略が、今ではウォルマートが推進するサステナビリティ戦略のドライバーとして、さらに重要な意味を持つようになったと言える。
【イベントサイト】ECO:nomics
【企業サイト】Walmart
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