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【EU】森林破壊・森林劣化規則が成立。7品目にデューデリ義務。猶予期間は18ヶ月。違反時は巨額罰金も

 EU上院の役割を担うEU理事会は5月16日、森林破壊・森林劣化規則(EUDR)案を採択。同規則案はすでに4月19日に欧州議会を通過しており、同規則が成立した。EU官報掲載の20日後に発効する。但し、実質的な義務規定は発効から18ヶ月後に適用される。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、環境・人権デューデリ規則制定で政治的合意。今後、立法プロセスへ(2022年12月7日)
 
 同規則は、パーム油、牛(牛肉・牛皮革等)、木材(紙パルプ含む)、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆及びそれらの関連製品を、EU市場に流通、提供、輸出する全事業者、貿易業者に対し、原材料の生産地にまでトレースするデューデリジェンスの実施を義務化するもの。

 対象産品の設定に当たっては、学術論文が引用された。同論文では、EU域内で流通している商品での森林破壊寄与度について、パーム油が34.0%、大豆32.8%、木材8.6%、カカオ7.5%、コーヒー7.0%、牛5.0%、ゴム3.4%と分析していた。

 同規則が発効すると、企業は、事前にデューデリジェンスを実施し、リスクがないまたは無視できる程度であったことを示す報告書を所管官庁に提出することが義務化される。また提出後に、リスクを検知した場合には、当局への報告が義務付けられる。但し、EU法が定義する「中小企業」に関しては、大企業がデューデリジェンスをすでに行ったものを取り扱う場合には、デューデリジェンスを行う義務が免除される。

 実施が義務化されるデューデリジェンスには、情報収集、リスクアセスメント、リスク軽減措置の3つで構成される。リスクアセスメントでは、当該対象産品の生産国に、森林が存在する、もしくは先住民族が存在する場合には実施することが必要となり、農地転換による森林破壊や、先住民族の権利、特にFPIC原則の遵守の評価が求められる。企業は、リスクアセスメントを少なくとも年1回文書化し、見直しを行い、要求に応じて、所轄官庁に提供することが求められる。リスクアセスメントでは、認証や第三者検証により提供される情報を含めることもできる。

 同規則では、「森林」を、0.5ha以上の土地で、高さ5m以上、樹冠率10%以上の樹木、またはその場でこれらの閾値に達することができる樹木と定義。主に農業または都市の土地利用下にある土地は除外すると規定されている。また「森林破壊」については、2020年12月31日が基準となり、それ以前に農地転換された土地は、「森林破壊された土地」とはみなされない。

 さらに同規則では、所轄官庁によるモニタリングも規定しており、高リスク国の製品を取引する事業者および貿易業者では毎年9%、標準リスク国では3%、低リスク国では1%に検査を実施し、規制で定められた義務を効果的に果たしていることをチェックする。罰則も設けることが規定されており、詳細は加盟国が決める。但し、罰則にはEUにおける事業者の年間売上高の4%以上の罰金と、公共調達プロセスや公的資金へのアクセスからの一時的な排除は最低限設けられる。

【参照ページ】Council adopts new rules to cut deforestation worldwide

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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