食糧世界大手米カーギルは10月3日、持続可能なカカオ調達サプライチェーンの構築イニシアチブ「Cargill Cocoa Promise」について、3回目の進捗レポートを発表した。同イニシアチブでは、長期的な視点に立ってカカオ農家や地域コミュニティを支援し、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与する活動を展開。すでに小規模農家14万5,000人にグローバル市場へのアクセスを提供し、500の農家団体や協同組合と連携している。
今年度のレポートでは、特にカカオの直接調達、森林伐採の抑止、情報のトレーサビリティの改善、農家と地域コミュニティの社会経済的なレジリエンス向上をテーマとした。同社が推進してている農家団体や協同組合を通じたカカオの直接調達割合は85%に達した。同社はこれにより、直接的に農家の事業運営を改善するサポートが可能となっており、収益性の向上にも貢献している。2016年から2017年にかけてコートジボワールで実施した農家向けトレーニングでは、平均で49%収穫高が上がった。
また、ガーナとコーボジボワールの村175ヶ所では、農家の経営安定化のための、国際人権NGOのCAREと連携した金融プログラム「Village Savings and Loan Associations 」を実施。農家向けの預貯金・融資サービスを提供している。これにより、4,000人が融資を受け事業を開始できた。そのうち半数は女性。
児童労働の撲滅では、累計で農家14万5,000人に児童労働廃止を呼びかけ、すでに2万人の児童が学校への通学や医療機関のサービスを受けることができるようになった。
トレーサビリティ改善では、すでに世界中で農家56,000人にGPSマッピングシステムを導入し、収穫物の出自を記録したり、生育計画を立てたりするのに役立てている。ガーナでは、農家25,000人がカーギル向けのカカオ豆の情報を追跡するためのタグ付けシステムに参加している。商品配達時には、農家はモバイル決済サービスを通じて即時に入金を受けることができるようになっている。GPS技術は、カーギルのリスク評価にも活用されており、これまで森林230万haの状態や伐採状況を調査した。その調査結果は、カーギルが2030年までに森林伐採をなくすという目標達成のために活用されている。
同社は今回、今後の注力分野として、5つの2030年目標も発表した。
- 農家の生活改善:カカオ農家100万人と地域コミュニティが社会経済的に持続可能な生活を送るための支援
- コミュニティの幸福:カカオ農家が暮らすチキの家族や子供の幸福な生活を支援。児童労働を撲滅し、100万世帯に必要最低限の生活インフラを提供
- 地球保護:サプライチェーン上の森林伐採をゼロにする
- 消費者からの信頼獲得:調達するカカオ豆について農家から加工工場まで100%の情報を把握し、自社サステナビリティ基準に適合する調達割合を100%に上げる
- パートナーシップの構築:目標獲得のために、適切なパートナーと協力
【参照ページ】Cargill sets clear course for cocoa sustainability
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら