気候変動に関する企業情報開示ガイドラインを発行している非営利団体CDPは6月9日、合計で時価総額が1,200億ドルに達するセメント会社12社の炭素利用効率を分析、炭素価格制度(カーボン・プライシング)が導入されると多くの企業が大幅に利益減となるとするレポートを公表した。セメント産業自体は、去年のパリ協定の採択を以て大きな分岐点を迎えており、さらなる効率向上のためのイノベーションを求められる時代となったという。報告書では、日本の太平洋セメントも対象となっている。
CDPの今回のレポートによると、セメント企業の多くの二酸化炭素排出削減目標は数年内に更新されることになる。2050年までに排出量ネットゼロを目標とするパリ協定の採択をきっかけに、セメント企業はこの目標に準ずる目標作成を迫られている。セメント産業の二酸化炭素排出量は全体の5%と多く、今後、革新的で高度な技術と商品の開発、新たなビジネスモデルへの転換を求められることになる。
12社の評価では、世界大手のスイスのHolcim、LafagelHolcimの2社が高い評価を受ける一方、イタリア3社が9位、11位、12位と低い地位に甘んじた。日本の太平洋セメントは調査対象のいずれの項目も振るわず10位だった。
CDPで投資家に関する研究のシニアアナリストを務めるTarek Soliman氏は「今回のレポートは、セメント産業の大手企業がどのようにパリ協定で提示された排出削減目標を達成するために取り組んでいるかを把握するために初めて発表されたもの。投資家、セメント企業には、セメント産業が大きな分岐点を迎えていることが一目瞭然となった。二酸化炭素排出に関する規制強化、カーボンプライシングに伴い、投資家は迅速かつ戦略的な変革をセメント企業に求めることになるだろう。二酸化炭素の回収・貯留や、低炭素の商品開発など、今ある選択肢の有効活用のみならず、長期的な技術の活用も視野に入れるだろう」と語った。
レポートのその他、
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