米ジョージ・ワシントン大学の研究者らは8月19日、空気中のCO2をナノ炭素繊維に転換するという新技術を公表した。取り出された炭素繊維は将来的に産業用の建材や消費財への活用が見込まれるほか、気候変動に歯止めをかける可能性がある革新的な技術として注目が集まっている。
新技術の研究を主導しているのはジョージ・ワシントン大学のStuart Licht教授だ。同氏によると、研究チームの試算では同技術をサハラ砂漠の10%(約100万km2)の広さに導入すれば、10年以内に大気中のCO2を産業革命以前のレベルにまで削減することも可能だという。
また、大気中のCO2から取り出した炭素繊維はその強度と軽量さから航空機や自動車などの産業用建材からスポーツ用品に至るまであらゆる用途への活用が見込めることから、同氏はこの新技術を「diamonds from the sky.(空からやってきたダイヤモンド)」だと表現している。
なお、研究チームらは炭素繊維を取り出すための電解合成プロセスに高効率の太陽光エネルギーシステムを使用している。再生可能エネルギーの利用により電力使用によるCO2排出をなくし、結果としてCO2の取り込みによりトータルで大気中のCO2削減を実現するだけではなく、試算によればこのシステムによるナノ炭素繊維の生成コストは1トンあたり約1,000米ドルで、システム維持コストを遥かに上回る価値の炭素繊維を生成できるとしている。
現状このシステムは実験段階で、Licht氏は今後の課題として安定した大きさの炭素繊維を取り出すための改善の必要性を挙げつつも、「現在規模を急速に拡大しており、まもなく1時間あたり数十グラムの炭素繊維を取り出せるようになるだろう」と語る。
同技術が本格的に大規模展開可能となれば、大気中のCO2を削減し、気候変動に歯止めをかける大きな一手となりうる。今後の研究の進展に期待がかかる。
【参考サイト】Licht Research Group
【参照リリース】'Diamonds from the sky' approach turns CO2 into valuable products
【団体サイト】The George Washington University
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