The Inter-American Development Bank(米州開発銀行、以下IDB)は10月2日、ブロードバンドがBOP層向けビジネスもたらす影響についてまとめたレポート、”The Broadband Effect: Enhancing Market-based Solutions for the Base of the Pyramid”を発表した。同レポートによれば、BOP層向けビジネスを展開する企業にとって、事業効率やサービスを改善する上でブロードバンド技術は非常に大きな役割を果たしているという。
同レポートは、アフリカ、アジア、中南米においてBOP層向けビジネスを展開している8つの企業を詳細に分析しており、企業はブロードバンドを上手く活用することでBOP層を顧客、製造者、従業員として自社のバリューチェーンに組み込むことができると結論づけている。ブロードバンドがもたらす具体的なメリットの例は下記の通りだ。
低コストで良質な情報を提供
ブロードバンドはBOPのエンドユーザーに良質な情報と世界へのアクセスを提供し、移動コストを最小化する。Urban Planet Mobileの事例では、毎日25,000人の登録者が携帯電話で音声やビデオなどを用いながら英語のレッスンを受けているとのことだ。また、ブロードバンドはBOP層の人々とその他の人々のリアルタイムのやり取りを可能にしており、例えばインドのeKutirは、農家がより優れた農業慣行を実践できるように、インターネットを通じて農業の専門家と遠隔でやりとりできるサービスを提供しているという。
競争力の向上
データ接続とブロードバンドは、多様性、品質、製品の競争力を改善し、利益を増やすことで小規模フランチャイズ企業や店舗オーナーを支援している。例えば、メキシコのブロードバンドサービスBararedを提供している小規模店舗は、手数料のおかげで収益が2倍になっているという。
銀行取引の利便性向上
Bararedの小さな店舗では平均1日35回の取引が行われており、BOP消費者がわずかな費用で銀行取引を行うことを可能にしている。Bararedを通じた引き出し手数料はわずか80セントとのことで、送金には手数料がかからないという。
同レポートは、農業、ヘルスケア、教育、金融サービスといった分野においてブロードバンドがどれだけBOPビジネスのオペレーションを効率的にしているかを強調しているが、一方ではいくつかの課題も提示されており、最大のハードルはブロードバンド環境を実現するインフラへの投資だと指摘している。
IDBでInstitutions for Development Sectorのマネジャーを務めるAna María Rodríguez氏は、「ブロードバンドの普及を実現するエコシステム構築に向け、ブロードバンド環境の整備およびデジタル化戦略を促進する公共政策の策定は急務となっている。同レポートはコネクティビティがもたらす可能性に興味がある政策立案者にとってとても役立つツールとなる」と語る。
BOPビジネスと聞くと対象とする社会課題やユニークなビジネスモデルに目が行きがちだが、実はBOPビジネスの成功を大きく後押しているのはブロードバンドなどのインフラ環境だ。今後、政府や銀行が一体となり途上国のブロードバンドインフラ整備にどれだけ投資をしていけるかがBOP市場拡大の鍵を握るといえる。レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】The Broadband Effect: Enhancing Market-based Solutions for the Base of the Pyramid
【企業サイト】The Inter-American Development Bank
(※写真提供:Filipe Frazao / Shutterstock.com)
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