公正取引委員会は3月31日、アルゴリズム/AIと競争政策についての研究結果をまとめた報告書「アルゴリズム/AIと競争政策」を発表した。同機関内に「デジタル市場における競争政策に関する研究会」を設立し、研究を行っていた。
今回発表されたレポートは、自動判定の特徴を持つアルゴリズムやAIが、競争法違反を犯してしまう可能性のあるリスク分野を探ったもので、法規制検討前の学術的な検討の位置付け。
まず、価格設定・価格調査に用いられるアルゴリズムでは、「監視型アルゴリズム」「アルゴリズムの並行利用」「シグナリングアルゴリズム」の3つについては、協調的な価格設定を誘導してしまう可能性があり、競争事業者間の「意思の連絡」が明らかでない場合がありつつも、法規制スキームとしては、独占禁止法で対応可能と評価した。「自己学習アルゴリズム」では、独占禁止法で基本的に対応可能としつつも、今後の技術変化等を注視していく必要があるとした。
ランキングに関しては、市場において有力なランキング運営事業者が、ランキングを恣意的に操作し、自社の商品等を上位に表示して有利に扱う等により、競合する利用事業者と消費者の間の取引を妨害する行為等をランキング操作とし、規制の対象となるとした。アルゴリズムの違法性検証については、複雑なアルゴリズムを用いた行為の立証等を的確に行うため,外部専門家や海外競争との連携も必要とした。
パーソナライゼーションを用いた「パーソナライズド・プライシング」では、市場において有力な地位を占める事業者が、競争事業者の顧客にのみ低い価格を提示することによって、競争事業者を排除する場合には、独占禁止法上の問題となる場合もあるとした。
アルゴリズム/AIと競争力の関係でも、一定のユーザー基盤を持つ事業者がより多くの顧客を獲得できるという循環が働く場合には、競争制限行為につながるものもあるとして注視が必要とした。特に、データ駆動型ネットワーク効果等が働く場合などには、競争において一定の規模・ユーザー基盤を持つことが重要になるため、競争事業者が必要な規模を達成することを不当に妨げる行為に注視が必要とした。
【参照ページ】(令和3年3月31日)デジタル市場における競争政策に関する研究会 報告書「アルゴリズム/AIと競争政策」について
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