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【日本】金融庁、SOMPOに業務改善命令。ビッグモーター事案。業務停止命令は出さず

【日本】金融庁、SOMPOに業務改善命令。ビッグモーター事案。業務停止命令は出さず 1

 金融庁は1月25日、ビッグモーター事案で、損害保険ジャパンと親会社のSOMPOホールディングスに対し、業務改善命令を発出した。発出後、業務停止命令を発出すべきだったとの声も多く聞こえている。

【参考】【日本】SOMPOの社外調査委員会、ビッグモーター事案で中間報告書。ガバナンス問題も指摘(2023年10月11日)

 今回の事案では、すでに明らかになっているビッグモーター及び子会社のビーエムホールディングスとビーエムハナテンの不適切保険金請求に関し、損害保険ジャパンによる管理・牽制が無効化していたと判断された。また同事態を引き起こした背景には、損害保険ジャパンとSOMPOホールディングスでの重大な態勢上の問題があると指摘された。

 まず、損害保険ジャパンは、ビッグモーター関連3社に出向者を派遣し、一部出向者から不正請求の背景やリスク予兆となる情報等を、損害保険ジャパンの営業部門や保険金サービス部門に継続的に複数の報告をしていたが、営業部門や保険金サービス部門は、ビッグモーター3社の反発や業績への影響を懸念し、対応を放置。法務・コンプライアンス部門も、不正請求に関する調査態勢を整備せず放置していた。

 さらに、2016年度からの中期経営計画でのコスト削減の一環で、保険金サービス部門の人員削減とアソシエイト職の社員への業務シフトをしていたことについても、業務上必要な「簡易調査」がルールから逸脱し杜撰に運用されていたことも咎められた。

 そして、同社のみが2022年7月にビッグモーター関連3社への自動車修理入庫を再開していた点については、社長を含む経営陣等が、「顧客保護やコンプライアンスを軽視し、自社の営業成績・利益を優先させ、十分な事実関係を追及せず、曖昧な事実認識の下、十分な議論を行わないまま入庫再開を拙速に決定してい」たと判断した。役員協議に法務・コンプライアンス部担当役員等が出席していなかったことも追及し、「損保ジャパンの経営管理(ガバナンス)は、機能不全の実態にあると認められる」とした。東京保険金サービス部、モーターチャネル営業部、法務・コンプライアンス部は、問題を認識しても、社長や経営会議等に報告しておらず、2022年7月に入庫再開に関し金融庁に任意報告した際にもこれらの重要事実を意図的に報告していなかったことも問題視した。

 金融庁は今回、同社では、いわゆるリスク管理の「3線管理」が全く機能していないとの認識を表明。さらに、グループガバナンスの観点から、親会社SOMPOホールディングスの子会社経営管理態勢も検証をしたが、SOMPOホールディングスのリスク管理部等や、グループ各社の経営諸活動にかかる内部統制の適切性等を検証する内部監査部が機能不全と判断した。背景に、子会社の損害保険ジャパンの方がリスクマネジメントに精通しているとの思いから、潜在的な遠慮意識があったとした。

 今回発出した業務改善命令では、経営責任の明確化や、保険金等支払い管理態勢の確立、子会社管理態勢の確立、ガバナンス態勢の抜本的強化等を命じた。

 これを受け、SOMPOホールディングスは1月26日、桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)が3月末で退任すると発表。特別顧問等にも就かずに、完全に経営から見を引くという。損害保険ジャパンの白川儀一社長も1月末で辞任する。

 今回、業務停止命令とならなかった理由について、金融庁幹部は、すでにビッグモーターが経営難に陥っており、同種の事象が再発するような状況にないためと説明しているという。一方、金融庁は同時に、保険大手4社によるカルテル事案も抱えており、忙殺されているためという向きもある。さらに、2022年の入庫再開時に、東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険の2社が不正請求を黙認して損害保険ジャパンが再開しようとしていると金融庁に逐一報告しており、対応が後手に回ったことを金融庁が後ろめたく思っているためという報道もある。

【参考】【日本】金融庁、損保大手4社に業務改善命令。自然災害増加契機に料率調整等。競争法違反(2023年12月28日)
 
【参照ページ】損害保険ジャパン及びSOMPOホールディングスに対する行政処分について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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