米環境保護庁(EPA)は6月21日、2023年から2025年までの3年間の再生可能燃料基準(RFS)を最終発表した。2022年12月に原案を公表していた。
RFS及び再生可能燃料使用義務量(RVO)のルールは、大気浄化法に基づき、2006年から導入している。製油事業者や燃料輸入事業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料に、エタノール等のバイオ燃料を一定割合で混合することを義務付けている。達成できない場合は、再生可能識別番号(RIN)と呼ばれる市場でクレジットを購入しなければならない。
RFSは、概念区分として、木質チップやコーンストーバー等の「セルロース系バイオ燃料(D3)」、大豆油、菜種油、廃油、動物油脂等の「バイオマス由来ディーゼル(D4)」を最少区分に、D3とD4を包摂し、さとうきび、バイオブタノール、バイオナフサ等の広範なバイオ燃料を「先進バイオ燃料(D5)」としている。さらに、コーンスターチ等の従来型の燃料を含めた全体を「伝統的再生可能燃料(D6)」としている。ライフサイクル全体での二酸化炭素排出量削減では、D3は従来比60%以上減、それ以外では50%以上減が要件として課されている。
EPAは今回、大気浄化法は2022年以降の数量基準を定めていないが、同法では過去ルールのレビューを定めており、それに基づき同様に数量基準を規定することを決めたと説明。含有の総量を算出した上で、含有割合の基準も定めた。
(出所)EPA
さらに今回、主にバイオガス発電の電力で充電された電気自動車(EV)に関しては、自動車が新クレジット「eRIN」を販売できるようにする制度も盛り込んだ。詳細設計は今後だが、実現すると、EV充電関連企業がRIN市場で新たな収益を得られるようになる。EPAは、eRIN制度を開始した場合、特にセルロース系バイオ燃料の市場に関する予測が難しくなるとし、広く助言を求めた。
今回の決定に際し、国際環境NGO世界資源研究所(WRI)は7月3日、バイオ燃料化したとしても、自動車の内燃機関使用はカーボンニュートラル化にはつながらないとし、EV転換を求めた。また、バイオ燃料の増加は、食料安全保障とも競合すると警鐘を鳴らした。WRIは、今回の決定に際して公表されたデータには問題が多く、バイオ燃料に転換したとしても、二酸化炭素排出量の増加につながると伝えた。
【参照ページ】Proposed Renewable Fuel Standards for 2023, 2024, and 2025
【参照ページ】EPA’s New Renewable Fuel Standard Will Increase Global Carbon Emissions — Not Lower Them
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