国連食糧農業機関(FAO)は7月20日、2022年6月にFAO理事会で承認された「気候変動に関する戦略2022-2031」について、加盟国との協議に基づき、2025年までの行動計画を策定した。各加盟国の需要と優先事項を可能な限り反映させたものとなっている。
同戦略は、気候変動緩和と気候変動適応の双方で、食料・農業システムを変革する方向性を固めたもの。国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成をゴールとし、国際、国、地方の3つのレベルを柱とし、改革を実行。それらをFAOがサポートする体系となっている。詳細については、行動計画で定めるとしていた。
今回の行動計画では、3つの柱毎に、アウトカム、行動分野、アウトプットを設定した。国際レベルでは、国際協力の他、データ収集とデータに基づくマネジメントも重視。国レベルでは、緩和と適応に関する政策を見直すとともに、防災・減災(DRR)、REDD+、自然資本の観点も統合するようことを定め、民間ファイナンスも動員するとした。地方レベルでは、伝統的知見やイノベーション等の最新の知見を組みあせて、各地に適したベストプラクティスを導入。若者や女性、障害者、避難民等の視点も組み入れるとした。ICTを活用したデジタル化や、バイオエコノミー、グリーンシティの促進も盛り込んだ。さらにFAO自身も気候変動の専門性を磨くことを掲げた。
同分野では、国連環境計画(UNEP)、国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)が6月21日、持続可能な食料システムの実現に向けた3機関のナレッジを統合した初のガイダンスも発表。マルチステークホルダー型のアプローチを柱とし、持続可能な食料システムへの変革を実現するために関わる様々なステークホルダーのコラボレーション強化するための方策を示している。
同ガイダンスは、各種文献レビューや、パブリックコメントで得た知見を集約し、ウガンダでの実証運用を経て作成された。政府、企業、市民社会、生産者、科学者等、複数分野のステークホルダーを巻き込むための5つのテーマを概説した。
具体的には、「複数ステークホルダーの参加の促進」「食料システムに関する正しい理解の確保」「包括的かつ効果的なコラボレーションの醸成」「ビジョンとロードマップの定義」「持続可能性なコラボレーションの確保」の5つのテーマについて、必要なアプローチと活用できるツールをリストとしてまとめた。
【参照ページ】FAO launches Action Plan for ambitious climate strategy
【参照ページ】Rethinking Our Food Systems: A Guide for Multi-Stakeholder Collaboration
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