三井化学は5月17日、将来有用となる技術情報の抽出から新規材料探索までを、人工知能(AI)で一貫して行うことができる技術を、日本のケモインフォマティクス・スタートアップCrowdChemと共同開発したと発表した。自然言語処理を活用し、新規材料探索の効率化が可能。生成AI技術と組み合わせ、事業への幅広い活用が期待できる。
CrowdChemは2022年1月創業。独自に収集したデータをもとに化学分野に関する知見、知識を提供するプラットフォーム「CrowdChem Data Platform」を開発している。 新規分野での開発にはこれまで、多大な調査時間と費用が必要だったが、ケモインフォマティクスにより、R&Dの迅速化を支援する。
両社は今回、着目する分野の将来動向に関するニュースや特許・文献等に記載されている技術キーワードの中から、関連の強いデータや必要な情報を抽出・実行する技術を統合。市場面からの期待度、開発面の難易度を同時に評価し、有望な新規材料探索を効率的に行う技術を開発した。CrowdChemが有する化学関連の情報を含むデータベースから、AIが有用情報の抽出システムをカスタマイズし、新規材料探索を行うことで、開発の効率化を実現した。
三井化学は4月12日にも、生成AIとIBMのAI文書検索システム「Watson Discovery」を組み合わせ、同社製品の新規用途探索の高精度化と高速化の実証を開始したとも発表済み。生成AIを通じた製品売上とマーケットシェアの拡大を進めている。
同社は2022年6月、IBM Watsonによる新規用途探索の全社展開を開始。すでに事業部門20以上が活用し、新規用途100以上を発見している。また、事業部門の1テーマにつき、特許・ニュース・SNS等の外部のビッグデータ500万件以上をIBM Watsonへデータ投入し、三井化学固有の辞書も構築している。これにより、先入観や既知の知見にとらわれない新規用途の発見を可能にした。
【参照ページ】三井化学とCrowdChem社、自然言語処理を活用した新規材料探索の効率化技術を共同開発
【参照ページ】三井化学、生成AIとIBM Watsonの融合による新規用途探索の高精度化と高速化の実用検証スタート
【参照ページ】Combining Generative AI with IBM Watson, Mitsui Chemicals Starts Verifying New Application Discovery for Agility and Accuracy
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