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【EU】欧州委、19サービスを指定プラットフォーマーに指定。デジタルサービス法に基づく義務負う

 欧州委員会は4月25日、2022年11月に発効したデジタルサービス法(DSA)に基づく超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)と2つの超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)の第1号指定を行った。指定された19サービスは、4ヶ月以内にDSAに基づく新たな義務のすべてを遵守する義務が発生する。

【参考】【EU】欧州議会、デジタル市場法(DMA)とデジタルサービス法(DSA)を可決。EU理事会での審議へ(2022年7月8日)

 DSAは、オンラインプラットフォームの違法・有害コンテンツに関する説明責任に関し新しい基準を設け、インターネット上の基本的な権利の保護を強化するもの。DSAの規制対象は、SNS、コンテンツ共有、アプリストア、Eコマース、オンライン旅行・宿泊プラットフォーム等のITプラットフォーマー。特に、EU域内での利用者が4,500万人以上の大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)と大規模な検索エンジン(VLOSE)については、特別ルールが課せられている。

 今回指定されたのは、VLOPでは、アリババ AliExpress、アマゾンストア、アップルAppStore、Booking.com、フェイスブック、Google Play、Google Map、Google Shopping、インスタグラム、LinkedIn、ピンタレスト、スナップチャット、TikTok、ツイッター、ウィキペディア、YouTube、Zalando。VLOSEではBingとGoogle検索。各サービスは2月17日までにユーザー数を当局に報告していた。

 同19サービスに課せられる義務は多岐に渡る。まず、違法なコンテンツや偽情報がサービス上で増幅されるリスクを認識し、表現の自由やメディアの自由への影響まで、幅広いシステム上のリスクを特定、分析、軽減することが義務化。同様に、オンライン上のジェンダーに基づく暴力、オンライン上の未成年者の保護と精神衛生に関する特定のリスクも評価し、緩和しなければならない。リスク軽減計画は、欧州委員会による独立監査とモニタリングの対象となる。その上で個別に実施義務も規定されている。具体的には、

ユーザーエンパワーメント

  • ユーザーは、特定の情報を推奨される理由について明確な情報を得ることができ、プロファイリングに基づく推奨システムからオプトアウトする権利を持つ。
  • ユーザーは、違法なコンテンツを容易に報告できるようになり、プラットフォームは当該報告を真摯に処理することを義務化。
  • ユーザーのセンシティブデータ(民族的出身、政治的意見、性的指向等)に基づいて広告を表示することを禁止。
  • プラットフォームは、すべての広告にラベルを付け、誰が広告を宣伝しているのかをユーザーに知らせることが義務化。
  • プラットフォームは、運営する加盟国の言語で、簡単に理解できる平易な言葉で利用規約の要約を提供することが義務化。

未成年者の保護

  • プラットフォームは、未成年者のプライバシー、セキュリティ、高い安全性レベルで確保できるようシステム再設計を義務化。
  • 子供に対するプロファイリングに基づくターゲット広告を禁止。
  • メンタルヘルスへの悪影響を含む特別リスク評価を、指定から4ヶ月後に欧州委員会に提供し、1年以内に公表することを義務化。
  • プラットフォームは、当該リスクを軽減するために、インターフェース、レコメンドシステム、利用規約を含むサービスを再設計することを義務化。

コンテンツモデレーションと偽情報の減少

  • プラットフォームと検索エンジンは、違法なコンテンツのネット上での拡散や、表現と情報の自由への悪影響につながるリスクに対処するための対策を講じることを義務化。
  • プラットフォームは、明確な利用規約を定め、真摯かつ非恣意的に実施することを義務化。
  • プラットフォームは、ユーザーが違法なコンテンツにフラグを立て、通知に対して迅速に対処するためのメカニズムを構築することを義務化。
  • プラットフォームは、特定リスクを分析し、偽情報の拡散やサービスの不正使用に対処するための緩和策等を義務化。

透明性とアカウンタビリティ

  • プラットフォームは、当該リスク評価とDSAのすべての義務の遵守に関する第三者監査を取得することを義務化。
  • プラットフォームは、研究者に対し、一般公開データへのアクセスを確保することを義務化。
  • プラットフォームは、自社のインターフェース上で配信されたすべての広告のリポジトリを公開することを義務化。
  • プラットフォームは、コンテンツモデレーションの決定とリスクマネジメントに関する透明性報告書を公開することを義務化。
  • プラットフォームと検索エンジンは、指定決定の通知から4ヶ月後までに、コンプライアンスのためのシステム、リソース、プロセスを適応させ、独立したコンプライアンスシステムを構築し、最初の年次リスク評価を実施し、欧州委員会に報告することを義務化。

 DSAに基づき、VLOPとVLOSEに対する当局の監督は、EU加盟国単位ではなく、EUレベルの監督当局が直接実行する。一方、それ以外のプラットフォーマーの監督はEU加盟国単位で行う。各加盟国は2024年2月17日までに体制を整備する義務を負う。それに合わせ、欧州委員会は、アルゴリズムシステムの機能がリスクマネジメント義務に合致しているかの評価をサポートするため、新たに「欧州アルゴリズム透明性センター(ECAT)」を創設済み。

 研究者に対する一般公開データへのアクセスを確保では、ヘイトスピーチ等の違法コンテンツや、偽情報の拡散等の社会的リスク、利用者の精神衛生に影響を及ぼす可能性のあるリスクに対し、監視するためのもの。審査に合格した研究者のみがアクセスできるようになる。詳細については5月25日までパブリックコメントを募集する。

【参照ページ】Digital Services Act: Commission designates first set of Very Large Online Platforms and Search Engines

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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