欧州委員会は11月25日、政治広告の透明性とターゲティングに関するEU規則案を提示した。今後、欧州議会とEU理事会での審議に入る。欧州では政治広告が世論を極度に誘導するおそれがあるとして、規制を強化する方向で動いている。偽情報に対する警戒感もある。
今回の規則案では、まず、有料政治広告に関しては、広告主名、広告費用、費用の出所、広告と関連する選挙・国民投票との関連性を容易に検索できる透明性表示の掲示が義務化される。
対象となる政治広告は、政治的主体による、政治的主体のための、あるいは政治的主体を代表する広告に加え、選挙・国民投票の結果、立法や規制のプロセス、あるいは投票行動に影響を与える可能性のある広告。イシューベースの広告も対象となる。オンラインとオフラインの双方が対象。
ターゲティングでは、民族、宗教、性的指向等のセンシティブな個人データを使用、あるいは推測する行為は禁止。アンプリフィケーションも同様に禁止される。但し、関係者の明示的な同意があった場合は認める。さらに、政治、哲学、宗教、労働組合等の目的を持つ財団、協会、NGOの正当な活動に関連したターゲティングは認められる。ターゲティング広告を打つ場合には、ターゲティング基準や手段の公表も義務化される。さらに、ターゲティング広告を打つ団体は、ターゲティング技術の方針の公開も義務化される。
違反した場合は、罰金が科される。罰金は、EU加盟国のデータ保護当局が執行できる。欧州委員会は、2024年の欧州議会選挙に間に合わせるため、2023年春までに同規則の発効を目指す。
別途、今回の案では、国籍国とは異なる国に居住するEU市民に対し、選挙権を行使しやすくできるようにする制度改正も盛り込まれる。
【参照ページ】European Democracy: Commission sets out new laws on political advertising, electoral rights and party funding
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