保険業界国際シンクタンクのジュネーブ協会は11月19日、大災害リスク評価モデル「CATモデル」を気候変動科学の知見等を踏まえ強化するよう提言するレポートを発表した。過去3年半の間に、自然災害による損害が大きく増加していることを背景に、保険会社として大災害リスク算出の強化を求める内容となっている。
ジュネーブ協会は1973年にスイス・ジュネーブに設立。保険業界世界大手CEO最大90名が加盟でき、加盟企業の資金拠出により運営されている。現在の会長は英AVIVAのCEO。副会長には独アリアンツ、東京海上ホールディングス、米プルデンシャル・ファイナンシャルの各CEOが着任している。日本生命保険CEOも理事に選ばられている。
同レポートは、CATモデルが過去30年間、保険ビジネスや再保険ビジネスに大きく貢献してきたことを高く評価。現在、保険業界だけでなく、他の金融機関や政府機関にも活用されている中、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言も踏まえ、気候変動による将来の物理的リスクを先取り査定するためのモデル強化をする余地があると主張した。
今回提言された内容は3つ。まず、CATモデルそのもののメソドロジーの強化を求めた。具体的には、大災害による事業休止影響、サプライチェーンモデル、特定の経済需要の急増、損失調整費用等の現在モデルが考慮できていないファクターの組入、相互運用性(Interoperability)の組入、中低所得国まで含めた全地域でのモデルカバー、モデル手法に用いた不確実性要素の透明化、国際的に統一したエクスポージャー基準の策定等を挙げた。
次に、気候変動による将来の物理的リスクを先取り査定するための、気候変動科学の組入。それに派生し、3つ目は、水、エネルギー、食料等、波及的な影響を考慮するため、システムシンキングや「モデルのためのモデル」開発を要請した。
【参照ページ】Managing Physical Climate Risk—Leveraging Innovations in Catastrophe Risk Modelling
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