国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は11月12日、インドネシア環境フォーラム(Walhi)及びTukインドネシア、プロフンドと共同で、韓国系インドネシア企業コリンド・グループに関する調査報告書を発表。同グループが、インドネシア環境保護・管理法違反、環境破壊、コミュニティの権利侵害を引き起こしながら木材事業を展開しており、コリンド・グループ製の木材が、住友林業、双日建材、三邦物産によって日本に輸入され、一部が2020年東京オリンピック・パラリンピックの会場建設に使われていると批判した。
今回発表の報告書は、コリンド・グループの合板工場が、違法かつ持続不可能な方法で伐採された木材を調達し、さらに同社工場から供給された合板が東京五輪施設建設現場でコンクリート型枠として使われていたことを裏付ける証拠をまとめている。同報告書が最も問題視しているのは、ボルネオ島の東カリマンタン州で操業しているツナス・アラム・ヌサンタラ(TAN)と、北マルク州で操業しているゲロラ・マンディリ・メンバングン(GMM)。コリンド・グループの合板工場企業、バリクパパン・フォレスト・インダストリーズ、コリンド・アリアビマ・サリはTANから、コリンド・アバディはGMMから木材原料を調達していたことを複数の調査を通じて突き止めた(*1)。
同報告書によると、バリクパパン・フォレスト・インダストリーズとコリンド・アリアビマ・サリの2社は日本への合板の大手供給元。特に、住友林業、双日建材、三邦物産の3社が輸入元となっている。また、コリンド・グループ自身も木材、パーム油、パルプ、製紙等の事業を展開する上で、大規模な森林破壊を引き起こしており、王子製紙もコリンド・グループと現地で協業しているという。そのため、今回の批判の矛先は、コリンド・グループと取引をしている住友林業、双日建材、三邦物産、王子製紙にも向けられている。
さらに、新国立競技場の建設にコリンドが供給した木材が含まれている可能性があり、今年5月、バリクパパン・フォレスト・インダストリーズの工場で製造された合板が、東京五輪バレーボール会場となる有明アリーナで見つかり、その合板は住友林業によって供給されていたことも突き止めた。これは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が定める調達基準違反と、RANは指摘する。
RANは、これまでも東京五輪での低いサステナビリティ慣行を非難してきたが、今回「2020年東京五輪の主催者は持続可能性に配慮したオリンピックの実現を約束しました。しかし、インドネシアからの熱帯材合板を11万枚以上も使用しています」と、約束が守られなかったことを強く批判している。
また、コリンドから資材調達している住友林業には、大和証券、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、三井住友信託銀行が投融資や債券引受としてファイナンスを提供している点も批判。特に三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループについては、6月に各々融資方針を発表している、これについてRANは「熱帯林破壊や持続不可能または違法な木材取引への資金提供を明確に禁止していないことは憂慮すべき」と表した(*2)。
今回の報告書は、日本語と英語で発表されている。
[2018.11.15修正]
*:タイトルを一部変更した。
*1:調達先と調達元の関係を明確にした。
*2:内容に一部誤りがあったため修正した。
【参照ページ】プレスリリース:新報告書「守られなかった約束」発表 〜東京五輪木材供給企業コリンドの熱帯林破壊、 違法伐採、人権侵害が明るみに〜(2018/11/12)
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