二酸化炭素固定化・有効利用技術開発のオーストラリアのMineral Carbonation Internationalは、2020年までに炭素を固定し建材に貯蔵する本格的な工場を2020年までに建設する。英紙ガーディアンや豪メディアNBNニュースが報じた。新技術の詳細については、豪ニューカッスル・エネルギー資源研究所での発表会で9月1日お披露目された。発表会では、破砕した蛇紋岩と二酸化炭素を混ぜ合わせ固形化するまでの一連のプロセスが紹介された。反応に必要な時間は約1時間。
今回発表の技術は、気候変動の一環として、大気中の二酸化炭素量を減らすことができる。反応に用いられる破砕蛇紋岩は、化学メーカーOricaのコーラガン島工場から供給される。また、固形化された炭素や副産物のシリカは、コンクリートや石膏ボード等の建材として活用される。同社は、2020年までに20万tから50万tの素材を建築企業に販売し、また炭素購入価格が高くなっても収益を上げられるようなビジネスモデルを確立したいとしている。
オーストラリア政府も、炭素固定・利用技術には注目しており、今年5月には、政府系のクリーンエネルギー金融公社の規制を緩和し、炭素固定・利用技術分野に融資できるようにした。オーストラリア以外でも、カナダでは企業が二酸化炭素や水素ガスから合成ガソリンを生成する取組を実施しており、米国でも企業がメタンガスからプラスチック製品を生成する試みを行っている。
一方、反応に必要な蛇紋岩の採掘が環境破壊を引き起こす可能性を指摘する声もある。さらに、副産物として生成されるコンクリート素材では、すでに石炭火力発電所から廃棄されるフライアッシュやボトムアッシュなど石炭灰を原料にすることもできるため、再生利用品の需要について懐疑的な見方を示す人もいる。同社には、今後規模を拡大したビジネス化の力を試される。
【参考ページ】Australian firm unveils plan to convert carbon emissions into 'green' concrete
【参考ページ】CARBON EMISSIONS TRANSFORMED INTO BUILDING PRODUCTS
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