スイスで11月27日、脱原発を問う国民投票が行われ、賛成45.8%、反対52.4%で反対が過半数をとり、否決された。スイスの制度では国民投票に加えて、過半数の州(カントン)からの支持も必要だったが、26州のうち6州しか賛成しなかった。
今回の国民投票は緑の党による発議。内容は、原子力発電所の運転期間を45年に制限し、さらに原子力発電所の新設を禁止するというもの。現在、スイスでは原子力発電所が5基稼働し、スイスのエネルギー需要の約3分の1を賄っているが、そのうち3基は運転開始から45年以上経過している。今回の国民投票で可決されていれば、3基は即稼働停止に追い込まれるとともに、残り2基もそれぞれ2024年、2029年に運転開始45年を迎えるため、2029年にスイス全土での脱原発を達成することを目指していた。
スイス経済界は、国民投票機関中に、原子力発電所による安定電源がなくなれば、スイス経済の競争力は弱くなると反対を表明。デットヒートが繰り広げられた。福島第一原子力発電所事故の後、スイス政府は2050年までに原子力発電所を全廃する長期方針を発表していたが、段階的な廃止を既定路線としたいため、今回の国民投票でも反対を表明していた。
スイスは大きくドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つ言語圏に分かれているが、全ての原子力発電所はドイツ語圏に位置している。今回の国民投票では、ほとんどのドイツ語圏州は原発全廃前倒し反対が勝利、一方ほとんどのフランス語圏は賛成が勝利していた。
【参考ページ】Swiss reject plan to speed up exit from nuclear energy
【参考ページ】Swiss referendum: Will Swiss say no thanks to nuclear power?
【参考ページ】Swiss nuclear plants to remain on grid
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