国際的な自然保護団体である国際自然保護連合(IUCN)が開催する第6回世界自然保護会議(WCC6)が、ハワイ・ホノルルで9月1日から10日まで開催された。IUCNは、政府やNGOが加盟する団体で、日本の環境省も国家会員として加盟している。世界自然保護会議は、IUCNが4年に1度開く会員総会と「世界自然保護フォーラム」の2つで構成され、「自然保護オリンピック」とも呼ばれている。今回の第6回会議には、政府関係者、企業関係者、大学関係者、NGOなど計1万人以上が参加し、日本からも外務省、環境省、水産庁、国際自然保護連合日本委員会などのNGO他50人以上が参加した。会員総会では、「2017-2020のIUCN活動計画」の決定が行われるとともに、同時に太平洋諸国の政府関係者、政治家、企業経営者などが集う「太平洋サミット」も開催され、太平洋の未来に向けた共同アクション「2030太平洋パートナーシップ」構想が発表された。会議の最後には、「ハワイ・コミットメント」が発表された。
2017-2020のIUCN活動計画
「2017-2020のIUCN活動計画」では、これまでの2013-2016計画を引き継ぎ、①自然の尊重・保全、②効果的で公平な自然資源の管理の促進と支援、③気候、食糧、開発の問題に対する自然に由来する解決策の普及、の3つのプログラムを実施していくことを承認した。国連持続可能な開発目標(SDGs)の貢献を重視することも確認した。
役員選挙
IUCN会長に、現職の中国の章新勝氏が再任された。章新勝は中国で、教育部(文部科学省に相当)副大臣と中国オリンピック委員会副会長も努めている。
総会決定事項
総会では、計105件の活動に関する動議が承認された。IUCNでの動議は法的拘束力を持つものではないが、会員として道義的に遵守が求められる。
- 象牙の国内取引の全面禁止(動議7):国内法で合法としているものの禁止も要請
- 私有地や共有地での自主的な生物多様性保全に関する認識向上(動議37)
- 海底の最低30%を海洋保護区等に指定し採取行為などを全面禁止(動議53):日本の海洋保護区は現在8.3%
- 海洋・沿岸生態系が炭素吸収源として気候変動抑止に貢献することを認識(動議61)
- 企業に生物多様性に関する報告を要望し、政府にはその仕組みづくり構築を要望(動議74)
- 湿地における狩猟のための鉛弾使用の段階的廃止や科学的根拠に基づく代替弾の検討と実施(動議90)
太平洋サミット
太平洋サミットには、23ヶ国から250名以上が参加。ポリネシアやマーシャル諸島、トンガなど太平洋国家の首脳は、管轄水域内に大規模な海洋保護区を設定していくことを表明した。また、「2030太平洋パートナーシップ」の設立に向け、今後の活動が確認された。
- 2017年に開催される第1回国連海洋会議事前準備会合の場で「2030太平洋のパートナーシップ」参加基準を設定
- 第1回国連海洋会議の場で2030太平洋パートナーシップを正式に発足
- 第57回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展の「海洋館」でパートナシップ参加促進活動を展開
【参照ページ】Outcomes from Pacific Ocean Summit and IUCN World Conservation congress
【参照ページ】第6回世界自然保護会議の結果概要について
【宣言】ハワイ・コミットメント
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