イギリス財務省は3月22日、金融業界におけるジェンダー多様性の向上に向けた憲章「Women in Finance Charter」を発表した。それに合わせ、この憲章を遂行する具体的な方法を示した報告書「Empowering Productivity: harnessing the talents of women in financial services」も同時に発表された。財務省発表の憲章は1頁と非常に簡易にまとまっているが、報告書は84頁に及び、金融業界が果たすべきジェンダー多様性の全体像を示していると言える。
憲章で定められている内容は4項目あり、ジェンダー多様性に責任を持つ経営陣の任命、経営陣レベルのジェンダー多様性に向けた具体的な内部目標の設定、目標の達成度合いを毎年公表、目標の達成度合いと経営陣の報酬体系をリンクさせる、がその中身だ。憲章は義務的内容ではなく、各企業の自発的な署名が期待されている。
財務省は今回の発表にあたり、具体的な提案報告書の作成を同時並行で進めてきた。同省経済担当副大臣Harriett Baldwin氏は事前に、実業家リチャード・ブランソン氏が率いる英ヴァージン・グループの銀行、ヴァージン・マネー社CEOのJayne-Anne Gadhia氏にその報告書の作成を依頼していた。そして、Gadhia氏がまとめたものが、前述の「Empowering Productivity: harnessing the talents of women in financial services」だ。報告書によると、2015年時点でのイギリスの金融業界における取締役会の女性比率は約23%であり、執行役会では14%にしかすぎない。また昇進機会について、男性の70%が平等であると考えているのに対して、女性は50%にとどまる。
財務省によると、憲章の署名第1号銀行は、ヴァージン・マネー社となるが、その他にもすでにロイズ・バンキング・グループ、バークレイズ、HSBC、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドが署名見込みであるという。他にも、アセットマネジメントのColumbia Threadneedle、投資信託のCapital Credit Unionも署名機関となると報じられている。
イギリス政府は、女性の労働環境改善は,長期的なイギリスの国益につながるとの見方を示しており,財務省経済担当副大臣のBaldwin氏は「既に多くの大手銀行が,金融女性憲章に署名していることは素晴らしいことだ。すべての企業がこの憲章を順守することを期待している。労働環境における女性の活躍を妨げる障害を取り払うことは,長期的なイギリスの経済発展に重要な役割を果たす」と語った。
【参照リリース】New charter to link City bonuses to the appointment of senior women
【憲章サイト】Women in Finance Charter
【報告書サイト】WOMEN IN FINANCE
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