サステナビリティ報告に関する国際ガイドラインのGRIは12月18日、2014年6月1日から2015年6月30日までの活動成果をまとめた報告書、"GRI 2014–2015 Combined Report"を公表した。
報告書の発行にあたり、GRIは今回初めて外部機関による第三者保証を導入した。また、今年の報告書では昨年とは構成が大きく変更されており、GRIの活動内容がEnabling Smart Policy(より優れた方針の実現)、More Reporters Better Reporting(報告の量と質の向上)、Moving Beyond Reports(報告のその先へ)、Innovation and Collaboration(革新と協働)という4つの戦略重点領域に整理されている。
報告書によると、GRIの組織体制はこの1年で拡充し、スタッフ数は昨年比で14.5%増加したとのことだ。また、GRIのグローバル・ネットワークを構成するOrganizational Stakeholders(OS)の数も21%増加し、世界各地でG4の研修等を行うGRI認定トレーニングパートナーの数も19%増加した。
さらに、GRIはガイドラインの効果的な活用に向けたナレッジ発信・共有にも積極的に取り組んだ。"Linking GRI and CDP"や"Linking GRI and IRIS"などGRIガイドラインと他機関との関連性についてまとめた報告書を含め、過去1年間で18の刊行物を出版したほか、Oxfam Novibと協働してサステナビリティデータの活用に関する研究報告書"The Role of Data in a Sustainable Future"も公表している。
GRIの組織体制だけではなく、GRIを活用してサステナビリティ報告を行う組織の数も拡大している。2015年6月末時点で、データベースに登録されているGRIガイドラインを活用したレポート数は昨年比で28%増加しており、19,192件に到達した。また、今回の報告書の対象期間ではないものの、GRIによると2015年11月末時点ではレポート数は21,892件になり、データベースに登録されているGRI以外のレポートも含めると合計30,000件というマイルストーンに到達したという。
上記のように過去1年間で多くの進歩を遂げた一方で、GRIは今後の主たる課題として人権、気候変動リスク、そしてインクルーシブで安定的かつレジリエントなグローバル市場を構築するためのサステナブル投資を挙げている。今後もサステナビリティ報告の新たな在りかたを模索し、サステナビリティデータの価値を最大限に活用できるテクノロジーの革新や強化に向けて他組織とも密接に連携していくとのことだ。
COP21の開催に先立ち、昨年11月にはUNEPがサステナビリティ報告の現状と課題についてまとめた最新の報告書、"Raising the Bar – Advancing Environmental Disclosure in Sustainability Reporting"を公表し、報告の質の改善を訴えた。(参考記事:【国際】SDGs達成に向けてサステナビリティ報告の質向上を。UNEP報告書)
サステナビリティ報告の普及に伴いサステナビリティ関連データが世界中で急激に増加しているなか、リアルタイムレポーティングや双方向コミュニケーション、バリューチェーン全体にわたる報告など、サステナビリティ報告をとりまく課題も進化しつつある。また、複数のガイドラインの乱立など新たな課題も顕在化してきた。世界のサステナビリティ報告を形作ってきたGRIが、これらの課題に対して今後どのようなランドスケープを描いていくのか、今年もその活動や発信に注目したい。
【レポートダウンロード】GRI 2014–2015 Combined Report
【参照リリース】GRI’s Combined Report for 2014-2015 just released
【団体サイト】GRI
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