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【シンガポール】官民連携により産業排水と食料廃棄物を利用してバイオマス発電へ

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 シンガポール公益事業庁(PUB, Singapore’s national water agency、以下PUB)と廃棄物系バイオマス生産を手がけるカナダのAnaergiaは6月17日、シンガポールで初となる産業排水と食料廃棄物の同時消化を行うプラントを建設し、バイオマスの増産を目指すことを発表した。

 産業排水は有機物を含んでおり、嫌気性バクテリアがそれをバイオガスに変えることで、最終的に電力を生み出すことが可能となる。産業排水と食料廃棄物の混合による新しい処理方法では、食料廃棄物がもつ高い発熱量の作用によって、より多くのバイオガスの生産が期待される。

 同事業では、ウル・パンダン水再利用プラント(以下、WRP)から届く産業排水がクレメンティ地区で集められる食料廃棄物と混ぜられ、同時消化の実証プラントにて処理される。同時消化プラントでは、産業排水と食料廃棄物を合わせて最大40トン分を処理することが可能だ。

 事業の一環として、シンガポール国家環境庁(以下、NEA)は、教育機関や病院、キャンプなど様々な場所から分別された食料廃棄物を集積するため、クレメンティ地区にて試験的な試みを行う。現在建設中の実証プラントは、2015年9月に完成予定だ。

 PUBの役員であり、技術チーフを務めるHarry Seah氏は「この実証プラントの狙いは、シンガポールにおける同時消化の技術面、コスト面での有効性を示すことだ。今回の実験により、水再利用プラントが排水処理プロセスで生み出す発電量を増やすことができるようになると、潜在的にエネルギーを自給自足できる排水処理プラントの実現につながる」と述べた。

 同事業が成功すれば、将来的にチュアス水再利用プラントやNEAの総合水質管理施設でも同様の処理方法が採用される可能性もある。 今回の連携は、2014年に開催されたシンガポール国際水週間の期間中にPUBとAnaergiaとが特に廃棄物のエネルギー利用分野における実現可能性調査と技術協力で合意したことが発端となっている。

 Anergiaの会長兼CEOであるAndrew Benedek氏は「水再利用プラントをエネルギーニュートラルにする当社の革新的な技術を証明するにあたり、シンガポールほど適した場所もなければ、PUBほど有益な協働者もいない。実証を可能にしてくれたシンガポール経済開発庁(以下、EBD)とPUBに感謝すると同時に、このプラントが未来の顧客をもたらしてくれることに期待している。」と語った。

 同事業は、シンガポール経済開発庁(EDB)が運営するテクノロジー・パイオニア・スキームの共同助成金によって支援されている。このスキームは、水道会社がシンガポールを最先端技術の実証実験の場として利用し、商業化を促すことを目的としている。これまで水問題解決に関わる150件のプロジェクトがPUBの施設で実施され、現在は20件以上の実証プロジェクトが進められている。

 多くの国が抱える排水処理と食糧廃棄物、さらにはエネルギーの問題を同時に解決する一助となるか。水処理産業において世界をリードするシンガポールにおけるチャレンジの成果に期待したい。

【参照リリース】Singapore’s first co-digestion plant to enhance energy generation from used water sludge and food waste
【政府サイト】Pub

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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