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【アメリカ】セリーズ、大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングを公表

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 米国の大手食品会社らは、世界の水資源をより効率的に利用するために現在より遥かに厳格な基準に移行しなければならない。サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズは5月7日、米国の大手食品会社37社の水リスク対応力を評価した報告書"Feeding Ourselves Thirsty: How the Food Sector is Managing Global Water Risks"を公表し、そう結論づけた。

 同報告書によると、事業活動およびサプライチェーンにおける水リスク管理のために幅広く対策を打ち出している企業はごく一部に留まっており、多くの企業が未だに多くの課題を抱えていることが指摘されている。同報告書では加工食品、飲料、食肉製品、農産物の4つの分野別に水リスクが企業の採算性・優位性をどれだけ左右しているかを分析し25、水リスクの予測、低減への取り組みに関する各企業からの回答をもとに各企業を評価、ランキング化した。その結果、ユニリーバが70点を獲得して最上位に選出されたのに対し、最下位となったMonster BeverageとPinnacle Foodsはそれぞれたった1点しか付与されなかった。(ランキング詳細はこちら

 そのほか、同報告書では長引いた干ばつにより50万エーカー以上の農地が休閑地となり、農業全体で10億米ドル以上の損失が生じたカリフォルニア州の事例などを挙げ、食品業界と水リスクの密接な関係について言及している。食品業界は世界にある淡水の7割を利用する最大の水消費業界であると同時に、農薬や肥料による表流水の汚染など、水資源に対して深刻な脅威をもたらしていることが浮き彫りにされている。こうした問題に対し、同報告書は食品会社が水資源利用の効率化と水質向上に取り組み、水リスクの低減を図っていくための方法について提示している。

 セリーズの水プログラムの担当者を務めるBrooke Barton氏は「世界的な水不足と水汚染という二つの課題は、食品会社の採算性と長期的な食糧・水安全保障を脅かしている。より多くの食品会社がリスク管理に乗り出してきてはいるものの、特に農業のサプライチェーンにおける取り組みをより層幅広く、徹底するべきだ」と語る。

 また、米国最大の公的年金基金であるカルパースのシニアポートフォリオマネージャーでコーポ―レートガバナンスの責任者を務めるAnne Simpson氏は「資源リスクをうまく管理できる企業は長期投資の対象に値する。今回のセリーズによるレポートは、水資源の枯渇が企業にとってどのようなリスクと機会をもたらすのかという新たな視点を与えてくれている」と述べた。

 世界最大の仮想水輸入国である日本にとって、今回の報告書が指摘する水に関わる問題は決して他人事ではない。個別企業だけで取り組むには限界のあるサプライチェーン全体を対象とした水リスクへの対応に、食品業界や行政が連携して取り組んでいくことが望まれている。

【レポートダウンロード】Feeding Ourselves Thirsty: How the Food Sector is Managing Global Water Risks
【参照リリース】New Report: Major Food Companies Must Adapt to Escalating Global Water Risks
【団体サイト】Ceres

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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