投資先企業のCO2排出量を投資上のリスクと考える機関投資家らが、自身の投資ポートフォリオのCO2排出量測定・開示に乗り出した。
PRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)は9月28日に行われた年次総会の中で、世界有数の大手機関投資家ら10数社とともにCO2削減に向けた新たなイニシアチブMontreal Carbon Pledge(モントリオール炭素公約)を発表した。(署名機関はこちらから確認可能)
同公約に署名した機関投資家らは今後、毎年自身の投資ポートフォリオのCO2排出量を測定・開示することになる。Montreal Carbon Pledgeは、PRIの監督のもとで2015年12月に予定されているUnited Nations Climate Change Conference(国連気候変動会議)までに同公約に参加する機関投資家の運用総額を3兆USドルまで伸ばすことを目標としている。
PRIの代表を務めるFiona Reynolds氏は「我々は投資家らの気候変動に対するコミットメントを具現化したMontreal Carbon Pledgeを発表できることを誇りに思う。気候変動や炭素排出規制に関連する長期的な投資リスクを管理するための最初のステップは、まずそれらを測定することだ。その意味で、このイニシアチブは今後の明確な道筋を示したと言える」と語った。
PRIによれば、Regime Additionnel de la Fonction Publique(ERAFP)、AP4、London Pensions Fund authority(LPFA)、VicSuperなど、多くの機関投資家は既に自身の投資ポートフォリオのカーボン・フットプリント測定に取り組み始めており、上場企業500社のうち実に78%はCO2排出量を報告しているという。
ERAFPのCEOを務めるPhilippe Desfosses氏は「CO2排出がリスクであることに異議を唱えるのはもはや難しい。信頼を獲得するためには、我々はCO2排出量削減のためのリスク評価に必要な仕組みを実行するか、少なくともリスクを測定し、ステークホルダーにそれを開示する以外にないだろう」と語った。
また、Asset Owners Disclosure Project(AODP)の常任理事を務めるJulian Poulter氏は「我々がCO2排出量の測定や削減に取り組む主な理由は、倫理やモラルではなく、喫緊の財務リスクによるものだ」と述べ、今回の署名が投資リスク管理の一貫でもあることを強調した。
PRIは今後、機関投資家らがMontreal Carbon Pledgeを推進できるようオンラインポータルmontrealpledge.orgを通じてポートフォリオにおけるCO2排出量の報告などを支援していく予定だ。
気候変動に向けてCO2排出量を削減するためには、75兆USドル以上の資産を有する機関投資家らの行動が重要な鍵を握ることは言うまでもない。今後、Montreal Carbon Pledgeが更に多くの機関投資家に拡大し、投資家からの圧力を通じて企業のCO2排出量削減に向けた取り組みが更に前進することが期待される。
【参考サイト】Montreal Carbon Pledge
【団体サイト】Principles for Responsible Investment
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