飲料世界大手デンマークのカールスバーグは3月22日、デンマーク・フレデリシアの醸造所に2020年7月に導入した廃水リサイクルする技術により、過去2年間で水消費量を約10億l削減したと発表した。廃水リサイクル約90%を実現できる技術。
【参考】【デンマーク】カールスバーグ、世界初の廃水リサイクル90%誇る醸造所誕生。官民協働の成果(2020年7月7日)
同社は、同醸造所を「水全量リサイクル・プラント」の実証施設として選定。官民パートナーシップ「DRIP(資源と水効率の高い食品生産のためのデンマークのパートナーシップ)」を通じ、デンマーク環境・食糧省デンマーク獣医・食品管理局や大学からの支援を得、最先端の水リサイクル・プラント設備を導入。同醸造所は2022年、世界で最も水効率の高い醸造所を表彰する「グローバル・ウォーター・アワード」も受賞している。
同社は、同リサイクル技術を導入する以前から、小規模な節水プロジェクトを実施し、自社の水消費量をビール1lあたり2.8lにまで削減することに成功していた。しかし、2030年目標とした1.7l未満にするには、抜本的な転換が必要と判断。醸造所内の関係者との数ヶ月協議し、実証施設として総合水処理施設を建設することを2019年に決定した。
処理工程では、嫌気性と好気性の生物処理をした後に、限界濾過膜(UF膜)と逆浸透膜(RO膜)を経て、閉鎖式回路逆浸透(CCRO)施設でさらに濾過。炭酸カルシウムを使用してRO透過水を中和し、飲料水品質の水に還元している。総合水処理施設では1日に2,000m2のプロセス水を処理し、そのうち90%が飲料品質水になり、生産工程で再利用されている。工程で発生したバイオガスも熱源に利用し、熱源循環も加えて、エネルギー消費量も9.6%削減できている。
同社は、サステナビリティ目標「Together Towards Zero」として二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)、廃水ゼロ、無責任な飲酒ゼロ、事故ゼロを標榜。水利用に関しては、2030年までに水リスクの高い地域にある醸造所での水消費量を100%水系に還元する目標を掲げている。今回のアクションもその一環。カールスバーグは、17の醸造所が水ストレスの高い地域にあると特定しており、さらに消費削減を進める。
【参考】【国際】カールスバーグ、スコープ3含む2040年カーボンニュートラルやリジェネラティブ農業100%等発表(2022年8月19日)
【参照ページ】Danish Carlsberg brewery saves 1 billion litres of water with new technology
【画像】Carlsberg
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