ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸は4月13日、物流事業での二酸化炭素排出量可視化ツールの開発に着手したと発表した。国際標準化機構(ISO)が3月20日にリリースした物流での排出量基準算定国際規格ISO14083に準拠する。
同社は今回、トラック輸送、航空輸送、海上輸送での排出量を算定し、スコープ3の算定を求める顧客に対応していく考え。2023年10月の完成を目指す。同社としてのスコープ1や2、3の算定にも活用する。
ISO14083は、2015年に一度策定の動きがあったが散会。あらためて、ISOと欧州標準化委員会(CEN)の間の技術協力に関する協定(ウィーン協定)に基づき、CENが手動する形で、2019年に提案が事務局に提出され、2020年に策定作業を開始。今回ついに完成した。ヤマト運輸は開発作業に積極的に関与してきた。
一方、すでに物流業界ではISOでの国際規格完成を待たずして、オランダに本部を置く国際的な物流カーボンニュートラル推進団体Smart Freight Centreが2020年、「Global Logistics Emissions Council(GLEC)フレームワーク」を発表し、算定ガイドラインを発表。現在は第2版にまで進化しており、さらに、2023年1月には、持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)と、Smart Freight Centreが、GLECフレームワークを補完するガイダンスとして「物流業務のエンドツーエンドGHG報告」を共同発表している。こちらの策定には日本企業はどこも参加しなかった。
【参考】【国際】WBCSDとSmart Freight Centre、物流CO2排出量算出ガイダンス公表。データ要件等規定(2023年1月21日)
GLECガイダンスは、GHGプロトコル、国連主導のGlobal Green Freight Action Plan、CDP報告との整合性を強調している。すでにグローバル大手企業は、こちらの規格の策定に参画してきた。その一方で、ISO14083は、ISOの温室効果ガス排出量の算定規格ISO14064と整合させているが、ISO14064は世界的にほぼ使われていない。ISO14083の陰は薄い。
【参照ページ】国際規格ISO 14083:2023に基づく温室効果ガス排出量可視化ツールの開発を開始
【参照ページ】ISO 14083:2023
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