持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は6月16日、スコープ3のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の透明性を確保するための複数のイニシアチブを統括する新たなプログラム「カーボン・トランスペアレンシー・パートナーシップ(PACT)」を発足した。
同プログラムは、WBCSDが3月に発足した製品単位のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を容易に算出するためのフレームワークを策定するプロジェクト「Value Chain Carbon Transparency Pathfinder」を発展させたもの。今回のプログラムは、スコープ3の算出や、スコープ3まで含めたカーボンニュートラルを目指すためのデータ障壁を突破する手法を協議する。
【参考】【国際】WBCSD、製品単位CO2排出量算出手法構築で新プログラム発足。SAPやユニリーバ等(2021年3月9日)
具体的に検討していく課題は、
- 製品単位での二酸化炭素排出量の算出や配分のための手法の不統一
- 製品そのものの二酸化炭素排出量に関する正確なデータの欠如
- バリューチェーンが複雑な中で、組織間での排出量データ共有が限定的
これらの課題に対し、同プロジェクトでは、デジタル技術も活用したデータインフラを、幅広いステークホルダーと確立していく。具体的には、3つのアクションを設定した。まず、「アクティベーション・クラスター」は、スコープ3算出の方法論や技術的なアプローチに関する実証運用と実装に必要な前提条件を作成する。
さらに「イニシアチブ・ハブ」は、異なる既存や新設のイニシアチブ間の整合性、一貫性、統合、相互運用性を確保するためのタスクを運営する。第1弾として、金属・鉱物資源のスコープ3の算出に焦点を当て、デジタルを軸に据えたソリューションの開発でロッキーマウンテン研究所(RMI)と協働する。ロッキーマウンテン研究所(RMI)は、金属・鉱物資源分野のスコープ3透明性確保で、Coalition on Materials Emissions Transparency(COMET)を運営しており、イニシアチブ・ハブの核を形成。他の分野のスコープ3算出にも対処していく。
同様の課題認識を背景に、東京大学のグローバル・コモンズ・センターと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は6月17日、産学連携を発表。MUFG グループ5社が東京大学に寄付する形で、共同研究を3年間行う。発表では、「日本の脱炭素化へのパスウェイとその実現における金融の役割」を研究するとしているが、日本経済新聞の報道では、スコープ3の算出手法も検討するという。WBCSDとほぼ同時に、日本独自の活動が立ち上がった形。
【参照ページ】New Carbon Transparency Partnership provides forum for stakeholders to address lack of Scope 3 emissions transparency
【参照ページ】東京大学と三菱UFJフィナンシャル・グループのカーボンニュートラル実現のための産学連携について
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