世界気象機関(WMO)は4月19日、気候変動の状況を分析した年次報告の2020年版「State of the Global Climate 2020 」を発行。2020年の大気中の二酸化炭素濃度が410ppmで、史上最高値を記録したと発表した。このままのペースでいくと2021年には414ppmに到達するとの見通しも示した。
2020年は新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、経済活動が幾分減退したが、それでも大量の二酸化炭素が排出されたため、大気中の濃度は上昇を続けた。
2020年の気温は、世界平均で、産業革命前から1.2℃上昇。2015年と2019年と並ぶ最も暑い年だった。また、人間活動からの熱の90%以上は海洋が吸収しているが、2020年には80%の海域で海洋熱波とよばれる現象を1回以上観測。特に強度の海洋熱波が全体45%で、中程度の海洋熱波の28%を大幅に上回った。また熱を吸収した海水は酸性化し、酸性化した海水は熱吸収量が落ちていくという悪循環にも陥っている。海面上昇も引き続き観測されている。
【参考】【国際】2020年の世界気温平均は2016年タイ記録で最高値。産業革命前から1.25℃上昇(2021年1月9日)
アジアとアフリカでは異常豪雨が発生し、特に東アフリカでの豪雨は、サバクトビバッタの大量繁殖という大規模な蝗害にもつながった。一方、南米の内陸部では大きな旱魃が発生し、ブラジルでは約30億米ドルの農業被害となった。南アフリカでは慢性的な雨不足に悩まされている。
ハリケーンでは、規模の大きいものが史上最大の30個が発生。米国での山崩れは史上最大の12件を記録した。米国を襲ったハリケーン・ローラは、190億米ドルの経済被害をもたらした。フィリピンを襲った台風コーニー(19号)は、10分平均で220kmの風速を記録した。
【参照ページ】Climate change indicators and impacts worsened in 2020
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