ヒューリックは8月25日、日本初のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行すると発表した。事務主幹事はみずほ証券。発行時期は10月。発行金額は未定。
サステナビリティ・リンク・ボンドは、サステナビリティに関する重要KPIで目標(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット:SPT)を事前に設定し、達成状況に応じて発行条件が優遇される制度。優遇される条件は債券利率で設定することが多く、達成すると利率が下がる。サステナビリティ・リンク・ボンドは、海外では過去2年ほどで発行事例が出ていたが、今回日本での初発行となった。
サステナビリティ・リンク・ボンドでは、国際資本市場協会(ICMA)が「サステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP)」を策定しており、今回の発行でも同原則に準拠。第三者評価では、環境省のモデル創出事業に応募し、同事業の枠内で、SLMPと、環境省の「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」への準拠が確認された。
【参考】【国際】ICMA、サステナビリティ・リンク・ボンド原則発行。ソーシャルボンド原則も改定(2020年6月16日)
同社債で設定されたSPTは、1)2025年までに事業電力100%再生可能エネルギーに切り替える「RE100」の達成、2)2025年までに銀座8丁目開発計画における日本初の耐火木造12階建て商業施設を竣工。いずれかが未達の場合、金利が上がる。
また、サステナビリティ・リンク・ボンドでは、グリーンボンドやソーシャルボンドと異なり、調達資金使途の限定は要求されないが、今回は自主的に、非FITの太陽光発電設備の開発と銀座8丁目開発計画の開発資金に充当することを決めた。
サステナビリティ・リンク・ボンドでのSPT設定では、発行体の将来リスクを低減することに資するKPIや目標値を決めることが本来の姿。それが実現できて初めて発行条件が優遇されることへの経済合理性が説明できるようになる。日本市場でも今後、SPT設定に関する技法の進化が求められていくことになる。
【参照ページ】サステナビリティ・リンク・ボンドの発行に関するお知らせ
【参照ページ】令和2年度サステナビリティ・リンク・ローン等モデル創出事業に係るモデル事例等のガイドライン適合性確認結果について
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