内閣官房と公正取引委員会は11月29日、下請法の観点から「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を発出した。発注者と受注者の双方に対し、労務費の労務費の価格転嫁を強く求めた。
公正取引委員会は2021年12月、内閣官房、消費者庁、厚生労働省、経済産業省、国土交通省とともに、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を発表。さらに2022年1月には、下請法違反行為の未然防止のため、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を改正。エネルギーコストや原材料価格の高騰を踏まえ、価格転嫁を積極的に行うよう求めてきた。
今回の指針は、エネルギーコストや原材料価格の高騰で価格転嫁ができない場合に、労務費の圧縮で内部で吸収しようとする動きを抑止するため、労務費も含めた価格転嫁を促したもの。労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者及び受注者それぞれが採るべき行動や求められる行動を12の行動指針としてまとめた。
発注者に対しては、経営トップの関与、発注者の方から協議の場の設定、説明や根拠資料を求める場合には公表資料に基づくものを提示することを明記。直接の取引先である受注者がその先の取引先との取引価格を適正化すべき立場にいることを常に意識し、そのことを受注者からの要請額の妥当性の判断に反映させることも盛り込んだ。さらに、受注者から労務費の上昇を理由とした価格転嫁を求められたら協議のテーブルにつくことや、労務費の転嫁を求められたことを理由に、取引を停止する等不利益な取扱いをしないことも明記した。
受注者に対しては、国・地方公共団体や、中小企業支援機関等に相談する等して積極的に情報を収集して交渉に臨むことや、根拠資料としては公表資料を用いること、本指針に記載の事例を参考に適切なタイミングで自ら発注者に価格転嫁を求めることを示した。
公正取引委員会は、発注者が同指針が示す行動に沿わない場合や、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、独占禁止法及び下請法に基づく処分も含めて対処していく考え。
【参照ページ】労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針
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