国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)が11月30日開幕した。スルタン・アル・ジャベール・アラブ首長国連邦(UAE)産業・先端技術相が正式にCOP28議長に指名された。ジャベール氏は、アブダビ国営石油(ADNOC)のCEOも務めている。
ジャベール議長は冒頭で開会スピーチを実施。世界は岐路に立たされており、これまでのやり方で期限内に目的を達成できないこともわかってきていると伝え、私たち全員が過去の障害物や回り道から解放された「十分に広い道」を見つけるときがきていると呼びかけた。また考え方を柔軟にすることが重要とも伝えた。
また、気候変動適応面も強調し、水、食料、農業、健康等の問題で議論することも不可欠とした。COP28では初めて保健相会合が開催されることにもなっている。
COP28での交渉の見通しでは、すでに世界経済の85%以上を占める国々が、2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にするという目標を支持していると表明。また、2030年までに省エネ性能を倍増させる目標についても、クリティカルマスに達しつつあると表現した。ジャベール氏は「こうして私たちは石炭からの脱却を実現する」と言及。加えて、メタン排出量をゼロにする目標の設定でも各国の合意が得られてきているとした。
ジャベール議長は、多くの国営石油会社が初めて2050年のカーボンニュートラル目標を宣言していることにも触れ、ゲームチェンジする側に回ってきていると認識。さらに大規模なカーボンニュートラル化を加速させるために、輸送、アルミニウム、鉄鋼、セメント等、排出量の多い他のセクターにもカーボンニュートラル化を働きかけていると述べた。
ジャベール議長は、初日の会合の中で、国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)で採択された発展途上国向けの気候変動災害対策・復興基金「ロス&ダメージ基金」の運営が同日に正式に開始したことを表明。同基金の創設では、アブダビで事前に開催された第5回暫定会合でようやく詳細設計に妥結に至り、なんとかCOP28に間に合った。
【参照ページ】COP28 President Dr. Sultan Al Jaber’s Opening Plenary Speech
【参照ページ】COP28 Presidency unites the world on Loss and Damage
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