英シンクタンクEnergy and Climate Intelligence Unit(ECIU)や英オックスフォード大学等が運営するカーボンニュートラル推進団体プロジェクトNet Zero Trackerは11月6日、世界上場大手企業2,000社を対象としたカーボンニュートラル目標の設定状況を発表した。
今回の発表では、世界上場大手企業2,000社のうち、1,003社がカーボンニュートラル目標を設定していた。目標設定企業数は、2022年6月の702社から、2023年10月には1,003社へと増加。2,000社全体の年間売上の66%、27兆米ドル(約4,060兆円)をカバーしていた。
一方、Net Zero Trackerは2023年6月、国、自治体、企業におけるネットゼロ目標設定の現状と傾向を包括的に評価した報告書「ネット・ゼロ・ストックテイク2023」を発表しており、その竿には、企業のネットゼロ目標のうちスコープ3排出量を完全に網羅しているのは全体の37%に過ぎず、オフセットを使用する際の品質基準を明記しているのは13%しかないとしていた。さらに、国連の気候変動緩和キャンペーン「Race to Zero」が2022年6月に厳格化した加盟基準を満たす企業のネットゼロ目標はわずか4%と酷評していた。
【参考】【国際】カーボンニュートラル宣言国が世界GDPの91%カバー。今後は質。英シンクタンク(2022年6月21日)
【参考】【国際】気候変動Race to Zero、加盟基準を大幅厳格化。加盟日本企業86社にも大きな影響(2022年6月16日)
今回の発表では、英企業についても分析を実施。英国のカーボンニュートラルに対する政策の取り組みの後退にも関わらず、77社中72社の94%がカーボンニュートラル目標を設定したと報告した。緩和目標を一切に設定していないのはプライベートエクイティ(PE)企業の3iのみだった。
Net Zero Trackerは、ネットゼロ目標を設定した企業数の増加を歓迎しつつも、約3分の1の企業は何も目標設定していないと指摘。パリ協定の目標達成を目指すのであれば、企業が設定する目標のインテグリティを高めるべきだと主張した。
今後Net Zero Trackerは、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に向けて、世界のカーボンニュートラル宣言に関する7回目の発表を予定。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)のパスウェイ、化石燃料の段階的な廃止等との整合性を世界の4,000の団体に関して分析する。
【参照ページ】New analysis: Half of world’s largest companies are committed to net zero
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら