米エネルギー省は10月30日、「送電円滑化プログラム」の第1弾として、アリゾナ州、ネバダ州、ニューハンプシャー州、ニューメキシコ州、ユタ州、バーモント州の6州を横断する送電線3本に新たに13億米ドル(約2,000億円)の予算をつけると発表した。同時に、全米送電需要調査の最終版も発行した。
バイデン政権は現在、2035年までにクリーン電力100%を実現するためには、送電網の容量を2倍以上に増やす必要があると見積もっている。目下、米国全土に3.5GWの送電網容量を追加することを目的としたプロジェクトを実施中。約300万世帯の電力供給に相当し、13,000人以上の直接・間接雇用を創出していく。これにより、電力価格の低減も図る。財源では、雇用インフラ促進法とインフレ抑制法(IRA)で、全米の送配電網強化に300億米ドル(約4.5兆円)以上の予算を確保している。
全米送電需要調査では、2040年までの送電需要を詳細に評価した。結果、国内のほぼ全地域で送電インフラの追加が急務であることが判明。特に北西部、山岳部、テキサス州、ニューヨーク州等、地域内の輻輳が歴史的に高い地域や、カリフォルニア州、北西部、山岳部、南西部等、信頼性リスクをもたらす予定外のフローが発生している地域では、戦略的な送電設備追加が必要とした。
とりわけ、広域送電網の能力を高めることが、顧客に最大の利益をもたらすと強調。また、クリーンエネルギーへの移行、地域需要の変化、異常気象の増加等の要因も考慮すると、2030年までの送電網需要を満たすには、ミシシッピ川下流域(デルタ)-グレートプレーンズ間、中西部-グレートプレーンズ間、中部大西洋岸-中西部間で、相対的に大規模な地域間送電容量の導入が必要となるとした。さらに。2040年までには、ほぼ全地域間で新たな地域間送電を大幅に強化する必要性があるという。
広域送電網の強化では、エネルギー省が「国益送電回廊(NIETC)」に指定すると、連邦政府の積極支援が受けられるようになる。同省は今後、今回の需要調査で判明した内容をともに、NIETC指定に向けた指針を発表していく考え。
【参照ページ】Biden-Harris Administration Announces $1.3 Billion to Build Out Nation’s Electric Transmission and Releases New Study Identifying Critical Grid Needs
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