石油・ガス大手12社の気候変動対応イニシアチブ「石油・ガス気候変動イニシアチブ(OGCI)」は10月10日、石油精製の電化によるカーボンニュートラル化に関するロードマップを発表した。OGCIの「工業ワークストリーム省エネ(EEI WS)」が発足したワーキンググループが策定した。
OGCIの現在の加盟メンバーは、エクソンモービル(米国)、シェブロン(米国)、オクシデンタル・ペトロリウム(米国)、BP(英国)、シェル(英国)、Eni(イタリア)、レプソル(スペイン)、サウジアラムコ(サウジアラビア)、エクイノール(ノルウェー)、トタルエナジーズ(フランス)、ペトロブラス(ブラジル)、中国石油天然気集団(CNPC)(中国)の12社。12社全体で、世界の石油・ガス生産量の約30%を占める。
【参考】【国際】石油・ガス大手気候変動対応推進OGCI、上流工程でのCO2削減目標発表。肝心の下流には触れず(2020年7月17日)
今回のロードマップは、石油精製のスコープ1と2で、2050年までの間にカーボンニュートラル化することを目標として掲げ、特に熱源の電化による達成について道筋を示したもの。低炭素電源の開発が進んでいる国では2030年頃から、それ以外の国では2040年から2050年にかけて電化を進めていくことができると見立てた。
電化に関するテクノロジーの成熟度に関しても俯瞰的な評価を実施。進展度を可視化した。そのうち、MVR(Mechanical Vapor Recompression)と凝縮蒸気タービンについては、2024年から導入が可能としする一方、 焼成残渣ヒーターの代替となる電気ヒーター技術は2032年頃から本格的なプロジェクト開始できるようになると想定した。
(出所)OGCI
OGCIは、各テクノロジーを一斉導入するのではなく、稼働中のプラントの混乱を減らすため、段階的に導入していく考えを示した。理由について、低炭素電源の開発状況に合わせられるということも挙げた。プロジェクト期間には、フィージビリティ/プレFEED、FEED、EPCの各段階が含まれ、一般的に、4.5年のプロジェクトの場合、pre-FEEDとFEEDの段階で1.5年かかり、EPCと稼働準備に3.0年を要するとした。
今回のロードマップによると、低炭素電力が十分に利用可能であれば、2040年までに製油所から排出される二酸化炭素の65%以上を削減できるという。
またOGCIは10月19日、年次進捗報告書も発行。2017年比で、上流のメタン排出量を総量で50%削減し、二酸化炭素排出量全体では原単位で2017年比21%削減したことを伝えた。2022年の低炭素投資額は、243億米ドルで前年比66%増。2017年からの累計は650億米ドルに達した。
OGCIは、以前からスコープ3には触れず、スコープ1と2の排出量の削減のみを対象としている。スコープ3に関する姿勢については、加盟企業の間でもばらつきがある。
【参照ページ】OGCI sets out roadmap to decarbonize refining
【参照ページ】OGCI companies ramp up low-carbon investment, reduce emissions – Annual Report
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら