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【日本】農水省検証部会、基本法改正へ最終答申発表。農業の大規模化や持続可能な農業への転換

 農林水産省の食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会は9月11日、1999年制定以来、24年ぶりの改訂となる食料・農業・農村法の改訂に向けた最終答申を採択した。今後、農林水産省が改正法案をまとめ、閣法としての立法手続きに入る。

【参考】【日本】政府、食料・農業・農村基本法を20年ぶりに見直しへ。グリーン化や食料安全保障(2022年9月11日)

 日本政府の農業関連の基本法では、1961年制定の旧基本法では、農業と他産業の間の所得格差を目指し、生産性向上を進めたが、格差は埋まらなかった。また、貿易自由化による日本の農業の国際競争力向上や、国内での食料自給率や農業文化等への関心の高まりを受け、食料の安定供給と多面的機能の発揮という観点から、農業の持続的な発展が大きく掲げられた。また農村そのものの振興も基本方針に加えられた。

 今回の答申では、現基本法が担った過去24年を振り返り、多くの課題を指摘した。日本は急速な人口減少を迎え、国内食料市場が縮小するとともに、農業従事者も急減。トラックドライバー等の物流人材でも不足を抱えるようになった。経済成長も滞り、輸入国としての国際的な影響力も低下した。他方、世界人口の増加により、世界的には食料市場が拡大し、日本の食料産業としては、海外市場を視野に入れる必要も出てきた。

 食品へのアクセスでも、日本の世帯当たり平均所得が、1997年から2018年の間に約18%減少し、所得200万円以下の世帯割合も増加。経済的理由により十分な食料を入手できない者が増加していることにも言及した。さらに食料の安売りが横行したことで、サプライチェーン全体を通じて食品価格を上げることを敬遠する意識も醸成・固定化されたとした。

 さらに、気候変動の物理的リスク、生物多様性を含めた持続可能な農業・食料サプライチェーンへの転換、農業における強制労働や児童労働の人権侵害の問題、世界人口増加による食料需給の悪化も今後の課題として浮上したことも盛り込んだ。気候変動の物理的リスクでは、農作物への影響だけでなく、農業インフラへの影響があることも盛り込んだ。

 今後20年間を見据えた中長期課題としては、「平時における食料安全保障リスク」「食料安定供給に係る輸入リスク」「適正な価格形成と需要に応じた生産」「農業・食品産業における国際的なサステナビリティの議論」「海外も視野に入れた市場開拓・生産」「人口減少下においても食料の安定供給を担う農業経営の育成・確保」「農村における地域コミュニティの維持や農業インフラの機能確保」の7つを提示した。

 特に価格形成では、農業者・農業者団体等が交渉力を持ち、流通全体に適正価格を求めることができる体制構築が重要とした。いたずらに価格転嫁のみを実現した場合には、生産性を高めながら競争力を拡大することができなくなるため、答申にも記されている「コスト構造の把握等、適切なコスト管理の下で」の実現がカギを握る。今回の答申では、家族農業から大規模農業への転換の必要性も示唆した。農地バンクの活用や基盤整備の推進により農地の集積・集約化を進めていく。これらにより、DX等を活用したスマート農業の促進も図る。

 不測時に求められる食料安全保障措置については、「不測時」の定義や、不測時に発動される行動内容の整理が不十分とし、現状の再検証を求めた。
 
【参照ページ】食料・農業・農村政策審議会 基本法検証部会

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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