経済産業省中小企業庁は8月29日、価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果発表の一環として、価格転嫁に消極的な企業名の第2弾公表を実施した。
【参考】【日本】中小企業庁、価格転嫁に消極的な企業名公表。日本郵便と不二越(2023年2月9日)
中小企業庁は、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年9月から毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定。2022年7月には、下請中小企業振興法を改正する中で「振興基準」を設け、発注側企業に対し、受注側中小企業との間での価格交渉や、価格転嫁に積極的に対応するよう要請している。
その一環として、中小企業庁は、第2回目として、2022年3月に受注側企業に対し、発注側企業との価格交渉の状況についてフォローアップ調査を実施。受注側中小企業に15万社程度に対して調査票を送付し、回答結果を発注側企業毎に集計して現状を把握した。加えて、下請Gメンによる重点的なヒアリングを受注側中小企業2,000社程度に対し実施した。そして今回、企業毎の結果を発表した。
公表されたリストは、フォローアップ調査で10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業が全て列挙されている。そのため、リストに掲載された企業が全て消極的と判断されたわけではない。リストでは、中小企業からの回答を点数化した平均値をア~エの4区分に分類・整理。そのうち「エ:回答の平均が0点未満」の企業が非常に消極的と判定されたことになる。
エがついた企業は、価格交渉の回答状況では、積水化学工業とトーエネックの2社。価格転嫁の回答状況では、エはなかった。それ以外にも「ウ:回答の平均が4点未満、0点以上」の企業も多数あった。
今回の調査とは別に、公正取引委員会は、下請法に基づき、原油価格の高騰や急激な円安によるエネルギーコストや原材料価格の上昇に関し、価格転嫁の協議を行わなかった発注事業者名の公表も実施している。
中小企業の支援策では、経済産業省は8月30日、「挑戦する中小企業応援パッケージ」を策定。「ゼロゼロ融資」とも言われるセーフティネット保証4号の提供も、新規融資のみでの利用は9月末で終了しつつ、借換目的での利用を当面の措置として12月末まで延長することを決めた。さらに、日本政策金融公庫による資金繰り支援でも、コロナ資本性劣後ローンは貸付限度額を現在の10億円から15億へと引上げた上、2023年3月末まで申込期限を延長するとともに、スーパー低利・無担保融資は、金利引下げ幅を現在の0.9%から0.5%へと縮小しつつも、同様に2023年3月末まで申込期限を延長することも決めた。物価高騰対策のセーフティネット貸付における金利引下げ措置も、2023年3月末まで申込期限を延長する。
他にも、信用保証協会と民間金融機関との連携による経営改善支援を強化するため、「早期経営改善計画策定支援事業」等を通じ、100%保証先等に、民間金融機関も一定の条件で利用を認める措置を発動。商工組合中央金庫も、危機対応融資のDES(債務の株式化)による再生支援事業をできるようにした。
【参照ページ】価格交渉促進月間(2023年3月)フォローアップ調査の結果について
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