ウクライナ国家腐敗防止庁(NACP)は8月24日、ウクライナ戦争でのロシア支援企業リスト「国家戦争スポンサー」にフィリップ・モリス・インターナショナルと、日本たばこ産業(JT)子会社のJTインターナショナル(JTI)の2社を追加した。日本企業のリスト入りは今回が初。
NACPは、2022年夏にリストの発表を開始。NACPは、経済協力開発機構(OECD)多国籍企業行動指針に沿って審査していると主張。NACPは同リスト作成の狙いについて、リスト入りした企業の金融機関でのレピュテーションを下げることで、国際サプライチェーンの完全性、ロシアからの事業徹底企業の増加、ロシアの財政・技術能力の低減と説明している。
今回、フィリップ・モリス・インターナショナルとJTIのリスト入りについては、ロシアでの事業を継続しており、ロシア政府の税収に貢献していることを問題視した。
フィリップ・モリス・インターナショナルについては、2019年にロシア市場シェアが30.1%に達し、ロシアへの投資総額は20億米ドルを越えており、ロシアのウクライナ侵攻本格化初年度の同社の売上は前年比8%増の1,403億ルーブル、純利益も同45%増の482億ルーブルとなった理由を伝えた。NACPは、フィリップ・モリス・インターナショナルが、ロシア事業の売却を検討してきたことも評価したが、売却は失敗に終わった模様だとコメントした。
JTIについては、市場シェアが34.9%と高く、売上がロシア最大級と紹介。JTIのロシア経済への投資額は過去20年間で46億米ドルを超え、2020年に同社の納税額は連邦予算歳入の1.4%を占めたことを問題氏。2022年にも、ロシア市場での売上が約20億米ドルとなっているとした。
国家戦争スポンサーリストに掲載している企業は現在36社。国別では中国が9社で最多。米国5社、ギリシャ5社、フランス4社の順。具体的には、アリババ・グループ・ホールディングス、浙江吉利控股集団、長城汽車、小米、バカルディ、P&G、ユニリーバ、モデリーズ・インターナショナル、SLB(旧シュルンベルジェ)、メトロ等。
飲料世界大手蘭ハイネケンは8月25日、ロシア事業を、ロシアのアーネスト・グループに1ユーロで売却し、損失3億ユーロ(約470億円)を計上すると発表。ロシアから事業撤退した。国家戦争スポンサーリストの影響があったかは不明。
【参照ページ】НАЗК внесло Philip Morris International та Japan Tobacco International до переліку міжнародних спонсорів війни
【参照ページ】INTERNATIONAL SPONSORS OF WAR
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