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【国際】CDP、金融機関に自然資本のガバナンスや戦略の強化を要請。7つの行動要請

 国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは8月17日、金融機関に対し、森林や水等の自然資本に関するリスク及び機会の認識が不十分とし、ガバナンス、アクション、開示を強化するよう促すレポートを発行した。

 今回のレポートでは、アセットオーナー、運用会社、銀行、保険の4セクターが対象となっている。CDPは、金融機関、規制当局、基準設定主体の3つが、気候変動及び自然資本のリスクと機会の観点でシステム全体を変革する極めて重要な役割を担っていると捉えており、今回金融機関に絞ったレポートを発行した。

 金融機関に限定すると、2022年のCDPへの回答では、気候変動で556社、ウォーターセキュリティで275社、フォレストで272社が回答。特に気候変動では前年比37%増となったが、3つ全てに回答した金融機関は260社しかなかった。

 CDPの調査票は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)及び自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)を踏まえ、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標・目標」の4つの柱で設問が設けられている。今回の調査では、取締役会の監督を実行できている機関は、気候変動については91%だったものの、水と森林ではともに32%にとどまっていた。

 取締役のコンピテンシーでも、気候変動に詳しい取締役が一人以上いるとした機関が68%だったのに対し、水と森林ではともに24%にダウン。同様に、取締役会での財務マテリアリティとインパクトマテリアリティの監督についても、気候変動に比べ、水と森林は大幅に少ない結果となった。

 リスクと機会の認識でも、気候変動が72%だったのに対し、水は13%、森林は10%のみ。その中でも、機会につながるとの認識は着実に上昇しており、回答された機会の総額は5.35兆米ドル(約780兆円)に上った。それでもやはり気候変動に偏っており、内訳は、気候変動が264社が回答し5.28兆米ドル、水は23社が回答し3,500億米ドル、森林は16社が回答し2,400億米ドルだった。
 
 CDPは今回、9月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)最終報告書が発行されることにも触れ、「金融機関にとって最初の一歩は、気候変動が環境への影響の一面に過ぎないことを理解すること」と強調。自社のポートフォリオ、業務、サービス、ファイナンス先のビジネスが、どの程度自然に依存し、自然から影響を受けているかを把握することが重要とした。

 その上で、具体的な要請事項を7つ示した。

  • 詳細なポートフォリオ・インパクト指標を開示(PCAF基準および新たなPBAF基準を活用)する
  • 自然関連の戦略と財務計画に組み込み、環境課題とインパクトを総合的に監督するガバナンス・プロセスを確立する
  • TNFDから発表される予定の金融機関向けのセクター別ガイダンスを含む提言内容を実施し、環境課題を包括的に報告するためにCDPのアンケートを引き続き利用。義務化される可能性のある開示要件に備える
  • 定性的・定量的なリスクマネジメント・プロセスを通じ、自然関連のリスクと機会に対するポートフォリオのエクスポージャーを積極的に特定・管理する
  • 実物経済企業や業界イニシアチブにエンゲージメントし、ポートフォリオのリスク・エクスポージャーを評価できるよう、自然関連の開示やデータの需要に関するシグナルを発出する
  • 最新の気候科学に沿ったポートフォリオの排出量削減目標を設定し、気候変動にとどまらず、より全般的な環境課題に関するコミットメントと目標を開示する
  • 顧客に影響を与え、エンゲージメントし、顧客のネットゼロ、ネイチャーポジティブへ誘い、顧客の損益計算書(P&L)だけでなく、顧客のビジネスも未来に備える

 
【参照ページ】Financial Institutions Failing To Integrate Nature And Climate: New Report Warns Inaction On Nature Impedes Net-Zero Ambitions

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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